関東を中心に「シロクマの買取り屋さん」などを展開する七豊物産(東京都台東区)は、昨年4月ミャンマーに海外視察へ行った。これまで中国などへの経験はあったものの、ミャンマーへの視察計画は「とても困難でした」と髙瀬勉経営戦略室長は話す。
アテンド依頼がカギ
海外視察を計画する際に大切なのは、「目的を明確に持つこと」だと言う。「海外視察は現地でアテンドしてもらえる信頼できる人間を見つけて、その人と具体的な目的、行きたい場所を共有しなければなりません」(髙瀬勉経営戦略室長)
同社の場合、今回の目的は同国の民力と購買力の調査だ。
「ミャンマーは軍事政権が終息を迎え、経済が上向きになっている国の一つ。東南アジアのなかでも注目すべき国です。現地に行って国民の経済状況などを実際に見る必要があると考えました」(髙瀬室長)
POINT A 大切なことは、
①信用できる人か
②行きたいところに連れて行ってくれる人か
「まず現地でアテンドしてくれる人と繋がらなければいけません。我々が最初にアプローチしたのは、JETRO。誰か紹介してもらえるかと話しましたが難しいとのこと。その他ミャンマーに拠点のある監査法人や、高田馬場にあるミャンマーの飲食店や服飾店が集まったビルなどにも乗り込みリサーチしましたが、有力なパイプが見つかりません。
最終的に以前取材を受けた新聞記者の方のご紹介で、現地で中古車サービスを行う日本人の方にアテンドしていただけることになりました。その方に現地の見学先のピックアップ、アポイント調整、移動手段、通訳の手配などすべてお願いでき、スムーズに進みました。
依頼するときに大切なのは、この人が信用に値するのかしっかり見極めること。そしてこちらの目的をしっかり伝え、行きたいところ、会いたい人にめぐり合わせてくれるかです」。
ヤンゴンのポージョーアウンサンマーケットは人が集まる
POINT B 見て来たものは、
①中古市場
②新品市場
③金融状況
①「ミャンマーでは、いたるところに中古ゴルフグッズ店があることに驚きました。最近ゴルフがブームらしくて、ゴルフ場も増えているようなんです。中古品でも日本と同じくらいの価格で販売されていました。良い中古クラブは、10万円近くしていましたね。現地の人から買い取りもしているようでした」。
②「もちろん町のデパートや市場も訪れ、新品市場もチェックします。ミャンマーのブランド品は基本新品。ヤンゴン市内にはブランドセレクトショップが複数ありました。しかし並んでいるアイテムは、どれもコピー品。それも作りは雑で、一目で偽物だと分かるクオリティーでした。タイなどから入ったものでしょう」。
③「ミャンマーでは基本的に銀行同士の取引が無いため、銀行決済はありません。そのため現金主義。しかし、最近では電子決済が主流になりつつあると言うことでした。クレジットはそこまで普及していないようです」。
ヤンゴンのデパートは高級感がある店構え
中心部を離れるとスラム街も。労働する子どもが目立つ
七豊物産 今回のプランは…
訪問地:ヤンゴン、マンダレー、アマラプラ
宿 泊:ヤンゴン3泊、マンダレー2泊
費 用:約120万円(現地法人、教育機関などもくまなく視察。必要書類作成や、現地企業からの招へい証明等の依頼も含む。)
視察の結果:ミャンマーには非常に可能性を感じました。人も多いし、年齢層も若い。街中には着物ショップがあったり、日本の物には関心があるんでしょう。テレビも日本番組の専門チャンネルがあり、私は「ケンミンSHOW」を見ました。そういう現地に行かなければ分からない空気感を体感したことは、今後役に立つでしょうね。
418号(2017/06/25発行)9面