Interview
2020年100億への鍵は、地方と海外
イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」を全国6店舗運営するタイムマシン(大阪府大阪市)。年商62億円、内中古品が20%を占めており、超特化型の専門店として年々成長を続けている。なぜイヤホンを商材に選んだのか、今後どのような成長戦略を描いているのか、大井裕信社長に聞いた。
e☆イヤホン(タイムマシン) 大井裕信社長
音楽の話題で盛り上がり、エアギターを演奏する大井社長。
「イヤホンで耳が悪くなると言うのは誤解。良いイヤホンは耳に優しい」と話す。
−−そもそもなぜイヤホン専門店だったのでしょう?
もともと僕は通期で14年くらいソフマップで、中古営業部にいました。そこで例えば中古ノートパソコンフロア、PDA(携帯情報端末)フロアなんて風に、超専門店みたいなフロアを展開してたんです。やるほうも面白いし、お客さんにもすごく喜ばれていたので、その形態を追及して自分でも何かやりたいなと思いました。超狭めて深堀して、専門店として面白い店を作ろうと。
商材を決めるにあたって、7個くらいアイディアを出したんですよ。キーボードとか携帯アクセサリとか。その中でもイヤホンが一番体験してもらった時のびっくり度合いがすごいなって感じて、選びました。創業の2007年頃は携帯、着うた、PSP、任天堂DS、iPodなどが人気の時代でイヤホンを使う用途がたくさんあったんですよ。良いイヤホンは聴いてもらうだけで分かるわって、僕のなかでは最初っからめちゃめちゃ自信がありました。
どうせやるなら地上ではヨドバシ、空中戦(ネット)ではアマゾンに勝てる店を作らない限り、ダメだと思ったんです。ヨドバシカメラがある隣で商売しても潰れない店を作ろうという意気込みでした。
びっくりする程失敗した1号店
−−実際やってみて、1店目からうまくいきました?
いや、全然うまくいかなくて。びっくりするほどうまくいかない、失敗したなって空気が充満するような(笑)。1店舖目は大阪のアメリカ村に出店したんですよ。当初は、リアル店で実際に音を聴いてもらって売るというスタイルだったんですね。でも1ヵ月目全然売れなくて、これは在庫を捌かなあかんからと通販をスタートしたんです。結局アメリカ村は家賃が高くて、半年も経たず日本橋の雑居ビルの5階に移転したんです。
−−そんな状況から、いまや年商60億円超まで成長しました。振り返ってみて、いくつかターニングポイントがあったと思うんですけど、いかがでしょう?
3つあります。一つは、実店舗を無くさずに踏ん張ったこと。うちは今でも、実店舗で基本全商品試聴できると言う点が強みなんです。
さっき言ったように創業当初は苦しい時期もあって、通販だけに切り替えようかっていう話し合いもしました。でもその時副社長の川口が、「数は少ないけど店頭ですっごい喜んでくれるお客さんがいるから残そう」と強く主張して。それでめちゃめちゃ家賃が安いところで、売上げは通販主体でもいいからこの場所は無くさないようにしようと決めました。当時試聴できるスタイルってあんまりなくて、量販店とかではショーケースに入っていたり、パッケージのままだったりしたんですよね。
アキバ店で一気に跳ねた
−−二つ目は?
2011年の2号店・秋葉原出店ですね。55坪ほどで、今ある秋葉原店の1個前の場所なんですけど、圧倒的に知名度と売り上げ規模が変わりました。
秋葉原に出して一番変わったのが、Webのアクセス数が3倍くらいになったこと。秋葉原に出店しただけなんですけど、「イヤホン・ヘッドホン専門店のe☆イヤホンが秋葉原に出たぜ」ってまとめサイトとかが一斉に紹介してくれたんですよ。
それで一気に知名度が上がって、秋葉原の来店客も売上げも勿論良かったんですけど、通販の方も売上げ倍増、大阪日本橋本店も上がって、全体の売上が上がっていったんですよね。年商5億円くらいから、秋葉原店で一気に跳ねました。
−−最後、三つ目は?
会社概要
社 名 株式会社タイムマシン
設 立 2007年7月23日
資本金 3億6,950万円
代表取締役社長 大井裕信
取締役副社長 川口高志
本 社 大阪府大阪市浪速区日本橋5―9―19
東京事務所 東京都千代田区外神田4―6―7カンダエイトビル6F
事業内容 ポータブル・オーディオ事業
従業員数 男性109名・女性68名 合計177名(2016年11月30日現在)
418号(2017/06/25発行)7面