Interview
建機×IT 「人生をかけるなら社会の為になるサービスを」
中古建機のマーケットプレイス「オールストッカー」を運営するソラビト(東京都中央区)。国内のレンタル会社や建設会社の建機を、国内・海外に流通させている。出品台数は約4600台にのぼる。青木隆幸社長に中古建機のマーケットや同社の展望について詳しく聞いた。
ソラビト 青木隆幸社長
−−2014年5月にソラビトを立ち上げられました。ビジネスモデルを教えてください。
「オールストッカー」という中古建機専門のオークションサイトとマーケットプレイスを運営しています。出品者はレンタル会社がほとんど。建設会社にも利用していただいています。
ただ売るだけではなく、出品者の方には高く売るためのソリューションを提供します。例えば建機種類によってオークションがいいとか、マーケットプレイスのほうがいいのではないかとかご提案をさせていただいたり、プロモーションかけて売っていきますというプランをご提示させていただいたり。手数料は、成約時に10%です。
−−従来は中古の建機はどう流通していたのですか。
これまで建機を売却するってすごく手間がかかったんです。
手法は大きく2つに分かれ、バイヤーや買い取り業者に出す場合と、リアルのオークションに出品する方法。
例えば買い取り会社に売るときは相見積を取りますよね。10社に取るとしたら、10社に同じ質問を投げて、10社に機械を見てもらわなければいけないから、10回保管場所への訪問に対応しなければならない。オークションに出品するには参加者を限定していたり、送料がかかる。これで売れなければコストもかさみますよね。
当社の場合は出品時、整備資格を持った鑑定員を派遣、写真撮影や鑑定書作成も行うので、出品者の負担をカットできます。
−−従来の建機売却時に足かせとなっていた課題を解決しているんですね。購入するのはどこの国が多いんでしょう。
期間によって波がありますが、国内が半分以下くらい。あとは台湾、ベトナム、香港が多いかな。タイとかシンガポールも目立ちますね。アフリカも今めちゃくちゃ問い合わせがあります。後はモルジブとか、こんな所に需要がって驚く国が買っていくこともあるんで嬉しいですよ。
世界11兆円市場、年率4%の成長
−−建機のマーケット規模ってどのくらいなんでしょう。
諸説あるんですけど、新品は世界で約11兆円。実は年率4%も成長していて、大きいのはUSと最近中国です。またドイツのメッセ・ミュンヘンという企業の建機展示会「バウマ」は世界中から、60万人集まる盛況ぶりなんです。
日本市場はこちらも諸説ありますが、新品で2兆円と言われています。私見ではこの内3000億〜5000億円くらいがリユース品として国内・海外に出回っています。これは今後増えていくでしょう。
日本の建機には特徴があります。まず年次点検が義務付けられていること。1年に1回は点検するので、状態が良いんです。あと日本はレンタル市場が発達していて、月1で新しいのを入れて古いのを出すみたいなサイクルができているので、市場に安定して大量の状態の良い物が出てくる。当社でも中古品は新品の半額程度と価格はもちろん安いし、状態も質も良い。海外では壊れるまで使うって国が多いので、すごく日本の中古建機は需要があると思います。コマツや日立とか、日本ブランドは世界でも通用しますしね。
熱くて愛のあるテクノロジー会社
−−市場が11兆円もあって伸びているともなれば、競合もありそうですが。
競合で言うと既存のバイヤーさんとか、オークション会社さんがありますね。しかし私たちが明確に違うのが、テクノロジーカンパニーであるということ。当社は社員のほとんどがエンジニアやテクノロジー系。なかにはフランス人のデータサイエンティストや、ジョブズのメンターだったアラン・ケイの弟子もいるんです。
ITの未来を信じていますから、ユーザーさんの課題を解決するサービスを日々開発しています。建機×ITと言うところでは、競合はいないと考えています。
加えて建機の業界は参入障壁も高いです。僕はもともと父が建設業をしていた背景や、レンタル会社さんたちとのお付き合いもあったので良かったんですが、ITを知っているだけの人がパッと参入できるかと言うと難しい。
社長プロフィール
SORABITO株式会社 代表取締役 青木隆幸
愛知県半田市出身。2011年早稲田大学大学院修了後、在学中から企画していた建機・農機のインターネット買取事業「グッドトレード」を設立。1年半で業界最大規模にまで成功させた。その後、2014年SORABITO株式会社設立。そして、働く機械の越境プラットフォーム「ALLSTOCKER」を立ち上げる。2015年Tech in Asia Tokyo ツアー優勝、国内最大級のベンチャービジネスコンテストIVS 2016 Fall Kyoto Launch Pad優勝など、数々のビジネスコンテストで表彰実績あり。
419号(2017/07/10発行)9面