第37回 真贋を見極める目を持とう
ブランド古物業界に身を置く上で避けては通れないのが、モノの真贋の見極め。このコラムでも度々取り上げており、以前に「モノと人」の真贋について取り上げた際は「コピー品にまつわる情報を常にキャッチしてモノを観察する」とお伝えしました。
そこで気になるのが、「じゃあ、具体的にどうやって情報をキャッチすればいいのか」ということですよね。現場で覚えていくしかない、なんて声もありますが、例えば買取り店を営んでいる方は持ち込まれる品物一つひとつが真剣勝負です。
特に、最近は工作機械の精度が向上し、一昔前に比べたらコピー品の出来は格段に良くなってきています。以前は刻印やネジといったポイントで簡単に判別できていましたが、今は容易に判別できないレベルの物もあるため、実践だけで経験を積むのは難しいと思います。そもそもコピー品かそうでないかを見極めるために必要なことは、本物をよく知ること。であれば、本物にたくさん触れられる市場を活用しない手はありません。
市場の出品商材は、会主があらかじめ検品しており、その際にコピー品が見つかれば大会に出品されることはありません(万が一、コピー品が紛れていて落札した後に発覚した場合でも、後交渉で会主が対応してくれます)。大会開催前の下見期間を利用して、とにかく数多くの本物を見て、触れて覚えましょう。
コピー品の出来が良くなってきているとはいえ、安く製造しようとしている分、本物に比べれば造りの粗は確実にあります。本物を知れば知るほど、コピー品を見たときに「おや?」と違和感を覚えるポイントが分かってくるはずです。
そして、いまどんなコピー品が出回っているかの情報も欠かさずに収集しましょう。質屋さんなら各都道府県に組合があり、加盟している会員向けにコピー品の流通情報を共有しています。リアルタイムでいつ、どこで、どんなコピー品が持ち込まれたといった詳しい情報が得られますから、注意深くチェックしておきたいところ。
また、市場が運営するWebサイトに真贋情報等を掲載していることもあります。例えば、当社が運営している「相場検索ドットコム」では、ブランド古物の真贋不明品を画像つきで比較〜解説しています。いつも参加している市場にそういったサービスがあれば積極的に活用されることをオススメします。
「市場の下見期間を利用して本物を知ること」「質屋の組合に加盟したり市場のWebサイトを見て真贋情報をチェックすること」を意識的に行えば、コピー品に遭遇したとしても見極められる確率は高まるはず。ぜひ皆さんの業務に取り入れてみてください。
市場のサイト等で真贋情報をチェック
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
424号(2017/09/25発行)17面