ライト層が拡大して市場全体は引き続き成長
個人間売買の市場を切り開いてきたのがヤフー(東京都千代田区)だ。ヤフオク!は、固定価格の売買を改めて「フリマ」と表現し直した。2016年度の流通額は約9000億円で、出品数の6割がフリマによるものだ。昨年は買取りサービス「カウマエニーク」もリリースした。ヤフオク!ユニットマネージャーの林啓太氏は、フリマや買取りに関する新サービスの登場で、ライト層の参加が増え中古市場が成長すると見ている。
ヤフオク!カンパニー ヤフオク!ユニット ユニットマネージャー 林 啓太氏
フリマアプリ市場が大きく成長し、中古市場の中で大きなポジションを担うようになった。それに加えてCASHや我々の「カウマエニーク」もそうですが、買取市場を盛り上げるサービスが続々と出ている。何かを買う時に、自分の身の回りの物を売って、それで新たな物を買う〝下取り〟に近い感覚が消費者についてきたと思います。
「カウマエニーク」も見込みより非常に良いスタートが切れています。ブックオフやマーケットエンタープライズと提携し、人を介した査定を行い、高級品でも見合った価格を提示できるのが強み。消費者にとって、サービスの使いやすさと共に査定額は重要な指標だと思っています。
20代女性の出品者は前年比で2倍
昨年はフリマアプリ市場に踏み込んだことで、特に若年層、20代の女性の出品者が前年から2倍に増えました。ヤフオク!全体の出品数は5200万点ですが、その内6割が固定価格です。当社としては、やはり「いくらで売れるか」という期待感はオークションならではだと思うので、こちらの魅力も2018年は改めて伝えていきたい。消費の速い今の時代に合ったオークションにアップデートしたいですね。
眠っている市場を掘り起こす
買取りもフリマもネット化が非常に加速している。リアルの成長度は前年割れしているが、失速するのではなく可能性があると思います。中古品として眠っているものが、6兆円か7兆円あると言われている。それを掘り起こせば、リアルな市場も当然活性化するでしょう。新しいサービスの登場でリユース未経験者が参加してくることになる。ライト層が拡大して、市場全体は引き続き成長していくと見ています。
3年後には、物を売って、そのお金で次の物を買うというサイクルが当たり前になる。下取り前提で物を買うようになれば、より良い商品が売れるようになると思います。新品市場も中古市場も、活性化するのではないでしょうか。
AIで違反商品をパトロール
2018年の我々のテーマのひとつは、「安心安全」の担保。そこにAIを積極的に活用します。機械学習自体は既に取り入れていますが、技術的により深く踏み込むつもりです。
431号(2018/1/10発行)3面