〝越境ECが当たり前〟そのスタート地点に立つ
世界中に1.7億人のバイヤーを擁するインターネットモール「イーベイ」は約10兆円の流通額がある。同サイトを通じて、グローバルに売りたい日本企業の支援を行っているのがイーベイ・ジャパン(東京都渋谷区)だ。佐藤丈彦社長は、2018年は「越境ECが当たり前」のスタートラインに立つと話す。国内人口が減少し内需の先細りが迫りくる中、海外向けのプラットフォームが1つの活路になると見ている。
代表取締役社長 佐藤 丈彦氏
イーベイ全体の流通額は円換算で約10兆円。現在11億点くらいの商品がマーケットプレイスに並んでいる。日本の場合は売上の半分以上が中古品。まだまだ伸ばせていない中古品や、セラーを取り込めていないカテゴリもあるのでポテンシャルはものすごくあります。
日本からの商品では、ファッション関係の中古ブランド物は常に売れている。それ以外だと今中古楽器が伸びてきている。昨年5月に通常9~10%の手数料を楽器だけ3.5%に下げたんです。そこから個数が増えました。
アジアのバイヤーからの買いが伸びている
イーベイの強みは約1.7億人のバイヤーが世界中にいること。為替によっては売値に10%、12%乗ってくるっていうのは大きい。そこの部分をしっかりと見極めながら販売するツールとしては、ものすごくいいかなと。
売り先の傾向はアメリカが大きなパイ。次にアジア、ヨーロッパと続く。バイヤーが日本の商品や品質、サービスをわかって買い続けてくれるという環境が整い始めて、アジアがしっかり伸びてきています。
内需先細りを見据え越境ECの認知向上へ
2018年は越境ECが当たり前になり始めるスタート地点に立てるかなと思います。
販売方法は多角化してくると思っていて、例えば当社でもデータの構造化を進めてしっかりとしたレコメンデーション機能を構築するというのが1つあります。例えば日本でも最近入ってきたグーグルアシスタントや、スピーカー型音声認識デバイスのグーグルホームと協業した仕組みがあります。「今こんなものを、このくらいの価格帯で探している」と話しかけるとイーベイで商品を探してくれる。リストを送っておいてと言うと、自分のモバイルに送ってくれて後で見られるような仕組みをローンチしました。
今は越境ECがマーケットにまだまだ浸透していないと思っています。しかし、例えば日本では、一番お金を落とす15~64歳の層が2030年には6000万人ちょっとくらいになり、先細るのが見えている。そんな中海外に目を向ければ買ってくれる人はたくさんいる。今はまだ将来の話だという人が多いですが、越境ECを当然のチャネルとして認知を上げたい。
431号(2018/1/10発行)3面