エントルピー、米AI鑑定が日本上陸
2018年02月12日
リユース企業とテスト運用
ニューヨークのスタートアップ「エントルピー」が、AIによるブランド品の真贋判定サービスを日本で本格的に開始する。アイポッドタッチとつないだ専用端末で商品を撮影すると、真贋の判定を行って鑑定書も発行する。日本のリユース企業とのテスト運用も始めていると分かった。
本物と鑑定できたら、鑑定書を発行する
鑑定書発行と金銭補償も
専用アプリをDLしたアイポッドタッチを、顕微画像が撮れる端末にセット。ブランド品のロゴや素材、縫い目などを260倍に拡大して撮影する。ヴィトンのモノグラムなど充分なデータ蓄積があるものは、即時に鑑定結果が画面に表示される。カバーしているのは15ブランドで、同社の発表する鑑定精度は98・5%。
データ量が不十分と判断した商品の場合は、「レビュー中」と表示され鑑定に1時間程度かかる。人間がアルゴリズムのチェックや、実際の商品画像のチェックなどを行うため。画像データを増やして、今後短縮化する。鑑定書も発行し、万が一ニセモノだった時は金銭的補償を行う。
エントルピーは、ニューヨーク大学の研究者がAIによる画像診断技術を商用利用できるように2012年に立ち上げたスタートアップ。4年間で1000万件以上の「本物・偽物」画像を収集し2016年秋からアメリカでサービス提供を開始した。
端末についた顕微画像を撮影できるカメラで、対象のブランドバッグの素材を撮影。1000万件以上の画像データと照会して鑑定する
欧米だけでなく、シンガポールやフィリピンなど世界各国200社がサービスを利用。累計鑑定数は在庫金額ベースで約33億円程。今月から、日本にもオフィスを設置し、いくつかのリユース企業とテスト運用を行っている。
同社が開発したAIは、画像を識別するためのポイントを自動で判別して、深層学習を行う。そのため、新しいブランドやニセモノのトレンドなどが出てきても追うことができる。
エントルピーの日本進出は、東京のデジタルガレージと大和証券グループが合弁で設立したDGLabファンドが主導している。出資者の中には、ディープラーニング研究のパイオニアでフェイスブックのAI研究チームディレクターのヤン・ルカン氏などがいる。
エントルピー 浅岡範子日本代表
433号(2018/02/10発行)1面