ハードオフ、公式アプリ全国版8月から
2018年09月24日
ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)が8月、新潟県と北海道で試験運用していた「ハードオフ公式アプリ」の全国版をリリースした。既存店の売上に伸び悩みを見せる同社だが、アプリを通じたネット戦略を加速させることで巻き返しを図る。
買取を「宅配」から「オファー」へ
公式アプリ全国版8月から
公式アプリを通じて、商品調達力と実店舗への動線強化を目指す。ユーザーが手持ちの商品を登録するとハードオフの各店舗から買取り依頼が届く「オファー買取」機能を設けた。また、実店舗で利用できる独自のポイント「エコポ」や、店舗に行くとエコポが貯まるチェックイン機能を実装した。
独自の機能として打ち出すのは「オファー買取」。ユーザーが画像やスペックを登録し た商品に対し、全国890超のハードオフ各 店舗が独自の査定額を算出し、買取り依頼を出すというもの。買取価格が高い上位5件がユーザー側に表示され、そこからどの店舗に売却するか選択することが出来る。
▲オファー待ち期間は最長で72時間
▲買取オファーが届いた画面。コメントで利用者にアピール
山本太郎副社長は特徴として「各店の買取り担当者からのメッセージ機能」を強調する。各店舗がオファーに際して値付けの理由や商品知識、人間性などをアピールする場と位置付ける。「価格だけでなくメッセージを付けることで、『この人に売りたい』と思ってもらえたら」(山本副社長)。
▲山本太郎副社長(右)と開発に携わった伊藤理沙氏
同社はこれまで、商品の仕入れに関しては各店の自給自足、現地調達・現地販売が原則だった。宅配買取だと各店の対応地域が限られる上、不要な商材が集まる懸念もあった。
今後はアプリを通じて、各店が売れる商材・強化したい商材を全国のユーザーからピン ポイントで仕入れることが可能となる。また、ハードオフ実店舗の少ない地域における買取りニーズに応えることで、新たな利用者層の開拓も目指す。
「例えば、出店が少ないが物量の見込まれる都内の商品を、地方に出していきたい」(山本副社長)。宅配買取からは完全撤退。ネット経由の買取りはオファー買取に集約し、希望しない商品が集まるリスクを抑える狙いがある。ただ一方で一括処分のニーズに応えることは難しくなりそうだ。
メルカリに代表されるフリマアプリや買取アプリ、宅配買取などと、どう差別化を図れるのかという問いに対して、山本副社長は「安心感と利便性を評価した時に、未開拓の領域にリーチできると考えている」と話す。東証一部上場企業で長年実店舗を構えてきた実績で安心感を、自宅にいながら不用品を売ることができるアプリで利便性を訴求する。
9月から本格的にプロモーションに乗り出す。SNSを通じて、インフルエンサーとのタイアップ記事を予定。また、動画や都内のタクシー広告などにも着手していくと言う。
ハードオフは成長戦略にリアルとネットの二刀流を掲げ、昨年からSNSの活用やECサイト改修などのネット面の強化に取り組んでいる。2018年3月期の ネットモール売上高は10.9億円で、前年比で38.2%増加した。今後はリアル店での販売にネットを上乗せする形での売上増を目指す方針。実店舗に誘導する仕組みを備えたア プリを活用し、店舗を中心とした各チャネルの連携を強めていく考えだ。
第447号(2018/09/10発行)24面