アダストリア 子供服シェアに参入
2018年09月25日
子供服シェアに参入 レンタルと物々交換を融合
衣料大手のアダストリア(東京都渋谷区)が9月18日、子供服シェアのネットサービス「キッズローブ」を始めた。月980円で8着を貸出す他、利用者からも不要になった子供服を回収。代わりに他商品を提供し物々交換を成立させる。新市場への参入で新たな客層を獲得していく狙いだ。
キャリーオンが商品支援
同社は「グローバルワーク」「ニコアンド」等20超の衣料ブランドを手掛け、国内外に約1500店展開している。同社が子育て世代に行った調査によると、子供服特有の「高単価な上、子供の成長によりすぐ着られなくなり、不要になる」といった課題が挙げられていた。同社は昨年9月に新規事業を扱う専門部署を立上げ、同年11月頃にキッズローブの構想が開始した。
「今は若年層はデジタルネイティブが多く、ネットでモノをシェアするのに抵抗を感じない人が多い。その層が今の価値観を持ったまま生産年齢にどんどん差し掛かっていくと、子供服シェアの市場は拡大していくと見る」(アダストリア・イノベーションラボ長・高橋朗氏)
▲アダストリアイノベーションラボ長 高橋 朗氏
同サービスの利用方法はまず、専用アプリをダウンロードし会員登録をする。次にアプリ上に掲載された3~5歳児対象の子供服を自由に8点選択する。すると自宅に商品が郵送され、3ヵ月間使用できる。利用者は、自前の不要になった子供服を同サービスに提供することも可能。すると次のサービス利用期間で、提供した数の分だけ1回あたりのレンタル点数を増やすことができる。1回あたりの最大レンタル点数は13着。点数が増えても月額料金は980円(税込)のまま。
同社には子供服を扱う既存業態があるが、同サービスの初期在庫にはそれを充てていない。今回タッグを組んだのが、子供服のネット買取・販売を手掛けるキャリーオン(東京都港区)。現在月2万~3万点の子供服を売買しており、その量は前期比3倍と成長中。「国内で一番中古子供服を取り扱っている」とキャリーオンの吉澤健仁CEOは自負する。
▲キャリーオン 吉澤健仁CEO
物量増によるネット出品における人的コストの負担を軽減し、回転率を上げるため、販売チャネルの拡大に着手している。今後は海外業者への販売にも取り組む見込みだ。アダストリアは同サービスを、半年を目安にテスト運営予定。目標利用者数や流通総額は掲げず、まずは反響見て、正式版リリースに向けたサービス改善・開発を行っていく。
第448号(2018/09/25発行)1面