【意外と知らない法律問題】人から聞いた誤情報、発信するだけで違法の可能性

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【意外と知らない法律問題】人から聞いた誤情報、発信するだけで違法の可能性

2018年12月20日

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【意外と知らない法律問題】

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▲西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士 森田多恵子氏

人から聞いた誤情報、
発信するだけで違法の可能性

「嘘の内容が他人から聞いた情報でも自分で発信してしまった以上は違法」と語る森田多恵子弁護士。本連載では、意外とと知らない法律問題について紹介する。日本最大の法律事務所である西村あさひ法律事務所のパートナー弁護士で、広告やポップなどの内容を定めた景品表 示法など消費者法に詳しい森田弁護士にチラシやHPの表示で気を付けるべきポイントについて聞いた。

消費者保護の為の景品表示法

実際に過去には仕入れ業者から聞いた原産国が間違っていたことで、問題となったケースもあるという。他人から聞いた情報でも、自分で表示してしまった以上、違法となるという。景品表示法は、消費者が偽の情報などで誤った選択を強いられないように「消費者を保護」し、加えて競争が妨げられることがないように、企業がお客を集めるために発信する商品の情報すべてを規制する法律。商品やサービスの品質、価格など様々な面で消費者の誤解を招かないように規定がある。

大きく分けると、品質など商品自体の内容を偽る優良誤認表示と価格など取引の条件面を偽る有利誤認表示、そしてその他告示で指定されたものがある。違反した場合には、行政指導のほかにも、措置命令といって、消費者庁や都道府県のHP上などで実名を公開される場合がある。この表示は半永久的に残ることとなる。

また、優良誤認表示や有利誤認表示の場合で、対象の売り上げが5000万円以上であるとき、課徴金として、過去3年間の違反による売り上げの3%を支払わなければならなくなる。相当な注意を怠った者でないと認められた場合には課徴金の支払いは行わなくてよい。

売約済み商品使ったおとり広告NG

ほかにも修復歴や傷を隠すことや、売約済みなど販売不可の商品を広告に載せるおとり広告や、二重価格の禁止として、通常価格よりも高い値段を表示し、そこから値引きすることで安く見せることも禁止されている。通常価格は過去8週間のうちの半分より多い期間販売していた価格を指す。

打ち消し表示と呼ばれる、割引き条件などの記載もわかりやすい位置に書くことが求められる。表示が小さい場合やウェブサイトでスクロールしないと見えないなどの場合には違法となる可能性がある。

2017年は措置命令がおよそ50件、課徴金納付命令は19件、出されている。森田弁護士によれば、一斉摘発がある年には件数が増加、そうでない年は減少する傾向にあるという。修復歴などは、中古車や骨董業界などで特に注意したい。

第453号(2018/12/10発行)15面

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