【速報】メキキ 中国質店向けに真贋判定AIを導入
2019年07月01日
中国質店向け業務システム最大手と提携
メキキ(福岡県福岡市)は、中国質店向け業務システム最大手のSOUDANG社と戦略的なパートナーシップを先月に締結、真贋判定AI「フェイクチェッカー」の導入を9月から進めていく。国内より真贋ニーズの高い中国向けを先行し、国内向けには夏頃に無償でリリースする考えだ。
30秒で真贋判定
メキキが昨年より開発を進めていた鑑定サポートアプリ「mekiki AI」は、スマホで写真を撮るだけで、ブランド品の特定から、真贋判定、相場価格まで分かるというもの。今回の提携はその中の機能の一つである真贋判定AI「フェイクチェッカー」の導入を前提としたものだ。スマホで商品の全体、柄、ロゴの3点の写真を撮るだけで、30秒弱で判定結果が出ると言う。現状はルイ・ヴィトンのみだが、今年夏までにはシャネル、グッチにも対応する計画だ。
戦略的なパートナーシップを結んだSOUDANG社は、中国国内の質店向けに業務システムを提供する最大手。「中国には約8000店の質屋があると言われており、その内の約6000店舗が彼らのシステムを導入している」(メキキ・吉田悟社長)と言う。SOUDANG社が総代理店として、有償での導入を進める。導入の有無は各店舗が判断することになるが、「初動で3000店の導入が見込めるのでは」(同氏)と話す。
同社が国内より先に中国向けのリリースを優先するのは、大きな真贋需要にある。「中国の質店で売っているものをテストしたら、2割がコピー品という結果が出て、店主も驚いていた。中国ではブランド品所有者の9割がコピー品を所有しているとも言われており、コピー品のデータ収集ができる点は、今後の開発にとっても有益。これから中古品市場の拡大が見込まれる中で、土台を築きたい」と吉田悟社長は話す。中国の質店にとっても真贋判定AIが使えれば、ユーザーに対する信用にも結び付く。真贋に対する需要は国内よりも大きいと判断した。
また、真贋判定AIの提供を通じて、鑑定士の育成サポートも図り、年内には北京でブランド品業者間オークションの開催も計画していると言う。「日本国内と同じくオークションがあることでしっかり買うことができるようになる、二次流通市場の構築をバックアップしていきたい」(同氏)
国内は8月から無償配布
一方で、国内向けには8月上旬に、ルイ・ヴィトン限定で使える「フェイクチェッカー」を無償で利用できるようリリースする考え。「まずは無償で使ってもらって、どの程度の需要があるかを掴みたい」(同氏)。いよいよAIによる真贋が本格的に人をサポートする時代に入っていきそうだ。
メキキは、九州大学系のテックベンチャー、チームAIBOT(福岡県福岡市)と業者間オークション「monobankオークション」を開催する、ものばんく(山口県下関市)が共同出資で2018年2月に設立した企業。チームAIBODは、九州大学と九州先端科学技術研究所(ISIT)、九州工業大学から生まれたテックベンチャーで、ビッグデータや人工知能技術の利活用におけるコンサルティングやプラットフォームの構築を手掛ける。取締役副社長には九州大学名誉教授 ・京都大学工学博士の村上和彰氏を擁している。
第467号(2019/07/10発行)1面