質の七つ屋、コロナで質預かり件数が前年比8倍に融資額は約5倍に
2020年07月31日
コロナで質預かり件数が前年比8倍に
多方面への情報発信と「人に値を付ける」査定で新規顧客を開拓
新型コロナウィルス感染拡大で多くの企業の業績が低迷するなか、売上を大幅に伸ばした店がある。創業9年目を迎える質の七つ屋湘南本店(神奈川県藤沢市)だ。同店は来客の8割が質預かり、2割が買取で、小売りは行っていない。3月から5月迄の3ヵ月間で、その質預かりの件数が前年比8倍、融資額は約5倍に増えた。
質預かりを利用したのは、飲食、土木、音楽関係、ブライダルなどの中小企業や自営業者が8割、大学生から高齢者まで、幅広い年代の個人が2割だ。通常は法人対個人の割合は4対6だが、コロナ禍で資金繰りが苦しくなった新規の法人客が増えた。だが、クレジットカードや銀行系カードローンなどの普及で、質屋は庶民の金融機関とは言えない存在になっている。
2015年に大阪質屋協同組合が実施したアンケートによれば、質屋でお金を借りられることを知らない人が44%、「急にお金が必要なとき、質屋を利用したいか」との問いには90%がNOと答えた。しかも、七つ屋の利息は融資額100万円までが月利9%、100万円以上が月利7%で、近隣のどの質屋より高い。お客はどのようにして同店の存在を知り、利息が高いと知りながら、利用しているのだろうか。その答えは、小原大輔代表の卓越したマーケティングのセンスと査定力にある。
第492号(2020/7/25発行)13面