ビデオ通話の緊張解くカギ
"異質な"体験分かち合うこと
ウイルス感染防止の配慮から「ビデオ通話」による買取査定が広がっているが、誰かにあれこれ指示されながら、自分の私物を動かして見せるというのは異質な感じがまだまだ拭えない。買取店「なんぼや」などを展開するバリュエンスジャパン(東京都港区)では「クイックセル」というビデオ通話サービスを5月に始めた。武田浩則さんに接客術を聞いてみた。
バリュエンスジャパン 事業推進部
武田浩則 部長
「共同作業」が親近感生む
ある時40代の女性からヴィトンのバッグの査定依頼で、クイックセルに予約が入った。当日、武田さんが接客に応じた。通話が始まり、予約のお礼とともに「武田と申します」とシンプルに自己紹介。女性からは「あ、はい」とこわばった表情で返され、緊張感が伝わる。
武田さんは女性に対し、自分のスマホにバッグを映すよう誘導。と、その時女性が両手で丁寧そうにバッグを持つ様子を見て、「何か思い入れのあるお品物ですか」と一言放った。「一生に1回しか買うことのなかった、ヴィトンのバッグ」。女性がこう思い入れを語ると、こわばった表情が少しずつほぐれていくのがわかった。「まずはお客様と認識を合わせ、同じ気持ちになって査定に向き合うことが大事です」(武田さん)
第496号(2020/9/25発行)17面