業者依頼の片付け、求められる多様化とコロナ時代に合わせたサービス
2020年11月03日
業者依頼の片付け、回復傾向
業者に依頼する、大掛かりの「片付け」需要が回復傾向にある。この春、コロナ感染拡大で人との接触や移動が懸念され、自宅に業者を呼んで作業をしてもらう「遺品整理」「生前整理」等にも影響が及んだ。現在は経済活動が再開してきた中で、依頼の数も戻ってきている。片付けにおいても、コロナ時代に合わせたサービスが求められている。
家の片付けや清掃をしている様子(写真提供:エヅリン)
「除菌」サービスなど求められる多様化
「リモート見積もり」で感染対策
片付けの動きが回復傾向にある。関西で遺品整理や、故人のスマホ・PCからのデータ取り出しやパスワード解析など「デジタル遺品整理」を手掛けるネオプライス(大阪府寝屋川市)では、「春頃には半減していた作業数が、今は平常時にまで回復している」(近藤博之社長)。千葉で買取専門店等を展開するマルタカ商事(千葉県君津市)は、「9月の片付けサービスでの売上は昨対2倍。昨年県内で起きた台風被害の影響か、今年も台風で吹き飛ばされてしまうのではないかと、もしもの被害を想定して事前に物置きや小屋の片付けを依頼される方が多かった」(荒井寿孝社長)という。こうした依頼の中には、自粛生活に入る前に一度見積もりをとっていたケースも含まれ、およそ半年を過ぎた今、改めての依頼につながっている。
片付け業者らで構成する団体の家財整理相談窓口(東京都新宿区)は9月にオンラインセミナーを開催し、コロナ時代における家財整理をテーマとしたシンポジウムのなかで「多様性」について語った。九州や山口で遺品整理を展開する友心(福岡県久留米市)では、「4〜5月の遺品整理はほとんどなくなり、一方で特殊清掃の依頼が昨年と比べても圧倒的に増えた」(岩橋ひろし社長)。コロナ感染対策としての除菌や、孤立死した部屋の原状回復の需要が伸びているという。同社ではコロナ以前からも特殊清掃を伴った遺品整理を行ってきており、消臭や殺菌力の高いとされる薬品を用いて原状回復作業にあたっていた。現在、片付け業者がサービスの幅を広げられるようにと、薬品の販売や作業の講習も行っている。
第498号(2020/10/25発行)11面