第8回 ドンドンアップ 代表取締まられ役 僕の話
いよいよ「世界の古着貿易商社」船出へ
毎日ピンチ、でも倒産はしたことない!?古着で一世を風靡するドンドンアップ(岩手県盛岡市)岡本昭史社長による凄絶ノンフィクション体験記の第8回。
いざ古着の世界へ
アメリカは、日本とは比較にならないぐらい中古品を使うことが一般的で、フリーマーケットやガレージセール、リサイクルショップがそこかしこにあった。お金がなかった僕は、可能な限り生活用品をリサイクル品で揃えた。古着、家具、家電をはじめ枕や布団、食器まで本当にすべて。フリマで小遣い稼ぎをしていたので、中古品になじみも深かった。昔からアメリカへの憧れも強かったし、現地の人は見向きもしないボロボロの服やジャンクも、僕の目にはすごくかっこよく見えた。少しずつヴィンテージの服やアンティークの置物や看板、ジッポのライターなんかを集め始めた。
ここで、やってきた事がつながり始めた。「もしかして、これ日本で売れるかも!?」。そこで幼馴染に電話で相談してみたら「いける、いける、古着も日本で流行ってるよ」と言われ「じゃーヴィンテージ古着屋一緒にやろう!」ってな感じで、この電話がウチの原点になりました。カッ、カルイ!
でも、ここで全てがつながった。アメリカ、フリーマーケット、古着、輸出、商売、自分の将来。小さいながらも「世界の古着貿易商社(?)」が始まった。まず、ビックショット、インディアンリバーロードというショップ名で、アメリカのヴィンテージ古着やジャンクな雑貨の店を始めた。当時、バブルの終わりかけでまだ景気がよく、また爆発的なヴィンテージ古着ブームが始まる直前期。とにかくアメリカで仕入れたものは売れに売れた。高校生ですら数万円するヴィンテージジーンズをバンバン買った。さらに景気がいいこともあって、若くて頭悪くて勢いだけのうちの会社に金融機関がドンドン融資をしてくれたおかげで店はドンドン増えていった。
第504号(2021/1/25発行)16面