第12回 僕のコケ倒し5選 & 神降臨?奇跡5選「Part3」
人生はサーキット、最後の一秒まであきらめない!
毎日ピンチ、でも倒産はしたことない!?古着で一世を風靡するドンドンアップ(岩手県盛岡市)岡本昭史社長による凄絶ノンフィクション体験記の第12回。
ドイツの巨大古着商社に突撃
8年前、「今もチョーヤバい」ですがこの時は企業人生最悪中の最悪の時期でした。「これだー」と信じて行ったM&Aで、僕の脇の甘さから大ゴケしてドンドンアップ本体倒産寸前だった時の事。トチ狂っている僕は、ドイツにある世界最大級の古着商社SOEXに起死回生の一手を求めて向かいました。
SOEXグループは、ドイツ本社で、アメリカ、中東、インドなどグローバルに展開し従業員数3000人を超える古着商社で、世界70カ国に古着を輸出し、着れないものは、はんもう材(車の断熱材)に加工しメルセデスやBMWに納品しているエココンシャスな会社です。知り合いに無理やりアポを入れてもらって突撃し、膨大なパワポ資料を使いながらへたくそな英語で必死に事業シナジーのプレゼンをした結果、なぜか創業社長に刺さったらしく一発で事業提携が決まりました。とりあえず提携のとっかかりとしてSOEXグループの関連子会社I:COの日本法人の支社長になることが決まりました。このI:COと言う会社は、H&Mやプーマなどなど名だたるアパレルのグローバルチェーンと提携して「お客さんの古着を回収しその対価として割引クーポンを発行するサービス」を行っています。それはそれで事業シナジーとしてドンドンにとってありがたかったし、古着を通して大きな力で環境保全に貢献できる仕事なのでとても誇りに思っていたのですが、ドンドンの目先の資金繰りは火の車。包み隠さず窮境を伝えていたので経営陣は理解をしてくれてはいましたが、「高額の投資」となると中々話は進みません。ただ創業社長だけはテンションが別で、電話をかける度に「アキ、大丈夫だ。俺はわかっている。うちは所帯がデカいし、監査法人やら会計士やら色んな奴らがごちゃごちゃウルサイ。俺が必ず社内調整して来年までには数十億円単位の投資を約束するから」と...。
第512号(2021/5/25発行)16面