日本の中古ビジネスモデル 海外で芽吹いているだろう
ブランドリサイクル市場で次々と大胆な施策を打ってみせるブランドオフ(石川県金沢市)。安山勉社長の目線の先にあるのはアメリカやインド、ASEAN諸国など広大な海外マーケットだ。日本のビジネスモデルが海の向こうでも芽吹く。そんな中古の未来を力強く語った。
――2015年の中古ブランド市場の展望を聞かせてください。
バッグに関しては円安でさらに海外からの日本の中古買いが増えるだろう。すでにそういう傾向があるが、さらに加速する。
特に対ドルで円安が進んでいるので、アメリカ人からすると日本の流通価格に割安感がある。イーベイでも日本の中古ブランドがよく売れているし、アメリカ人バイヤーも増えている。ブランドオフでもそれを見据えて、本格的な卸事業を昨年スタートした。海外バイヤーに対応できる常設の商談ブースもつくった。
売れ筋を研究してアメリカに進出したいと思っている。今期の事業計画書にもそう記した。日本の中古品を持って行って売るだけでなく、ヨーロッパで買ってアメリカで売るモデルを構想している。
――アメリカには競合になるような企業はありますか。
アメリカで中古ブランドを売っているのは、昔ながらの小さな店しかほとんどない。これまでは中古に対する信頼感や需要が無かった。しかし最近はハリウッドスターが新作ではなくヴィンテージを持ち始め、それがメディアで「お洒落」と取り上げられている。ヴィンテージシャネルやヴィンテージヴィトンが売れるようになる。
――時計はどうでしょうか。
為替の変動をより受けるようになる。さらに薄利になって「為替商品」になるだろう。これまで時計は小売りするものだったが、認識と扱い方を変えなければならない。
同業以外の人間が金や為替の感覚で、投資の対象として取扱いを始める可能性がある。円相場が弱くなりドルが強くなれば、カネのあるファンドが時計をバンッと買うことも想定できる。先物取引のようなもの。
貴金属・宝飾は売り先を開拓
――貴金属や宝飾品に関しては、どんな市場の動きを予想しますか。
参入企業が多いので、今までと違うやり方でなければ難しくなる。売り先を開拓していくことになるだろう。どこでどのようにすれば売れるのか、その複雑な関係が分かる人は儲けられるが、そうでない人は儲けられなくなる。ブランドオフでも、自分は分かっているが社員全員がまだ分かっている状態ではない。10年前は中国が古いデザインでも金を大量に買っていた。しかし今はお洒落になって昔の18金の商品を買わなくなった。
今売れるのはインド人だ。ただ例えばインドなら特有の「カースト制」がありビジネスにも複雑に絡んでくる。海外を相手にビジネスをする時には、その国の文化や仕組みも理解しなければならない。
359号(2014/05/10発行)3面