毎日ピンチ、でも倒産はしたことない!?古着で一世を風靡するドンドンアップ(岩手県盛岡市)岡本昭史社長による凄絶ノンフィクション体験記の第18回。
負け戦、待ったなし!ドンドン・岡本VS倒産屋・福岡
小説ばりの展開に引きずり込まれ
前回もお話しましたが、ドンドンアップのハンジローM&Aにおける僕の主張はおおまかに言って三つ。①本社事務所と物流倉庫の統合、②ハンジロー店舗面積縮小とドンドンダウンの併設オープン、③ハンジローの子会社化ではなくドンドンアップとの合併。僕の中では合理性しかない主張だったのですが、毎回会議で必ず逆の解に導かれそうになる。らちが明かないので、ある会議で僕は三つの主張を細かくブレイクダウンしてその戦略の成否をメリット・デメリットで問う図を作った。そしてハンジロー経営陣及び、資金調達コンサルタントの福岡(仮名)という男に一つ一つ、一人一人に丁寧に成否を聞いた。するとその時、全員が全員、一つの設問についてすら合理的な反対意見を唱えることができず、渋々ながらに賛成をしたのだ。僕の中では久々の圧勝だった。
しかし、結局その後も福岡は何かにつけて、すでに破綻状態にあるハンジローとドンドンアップに「資金調達の可能性」を示唆してきた。そして三つの主張に対して、それをやることで調達の可能性がなくなると囁くのだった。
福岡は、SPC(特別目的会社)を設立し株式担保と口座管理、支払い優先順位の管理を条件に融資を行うという提案を度々してきた。どう考えても破綻状態の両社にブリッジの融資をしてくれるおめでたい会社は存在しない、と頭では解りつつも、「明日の資金」が手当てできない僕は、藁をもつかむような気持ちでその提案に何度もすがりそうになった。
第524号(2021/11/25発行)22面