「千年質屋 第2回」はカドノ質店の後編をお届けします。後編に登場するのは、カドノ質店の三代目であり、全国質屋組合連合会の会長でもある角野大弘氏です。
顧客は近隣住民から都心の富裕層へシフト
祖父から影響受け
25歳で事業継承
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二代目の信行がカドノ質店に入社して28年後の1991年(平成3年)、神奈川県川崎市の「質丸滝」での2年間の修行を経て、長男の大弘が25歳で経営に参画した。大弘が家業を継いだのは、祖父孝作の影響が大きかった。
「僕は祖父さん子なんです。入社した時、店の会計は祖父さんがやっていたのをそのまま引き継ぎました。祖父は92歳まで長生きしましたが、とにかく何でも知っていて、ものすごく影響力のある人でしたね」と大弘は語る。
余談だが、孝作の娘の一人は『魔女の宅急便』の著者で、童話・絵本作家の角野栄子だ。孝作は物のない時代、栄子によく物語を聞かせた。その話がものすごく面白く、それがきっかけで栄子は物語を紡ぐ世界に入っていったのだという。
第557号(2023/04/10発行)17面