20年働いた会社に何が返せるか
自分は現場と距離が近い社長
中古メディア店「エンターキング」を運営するサンセットコーポレイション(千葉県市川市)は今年3月8日、業績悪化の責任をとる恰好で創業社長の丹野照夫氏が退き、たたき上げの大川新吾氏が新社長に就任した。どう立て直しをはかり、成長軌道に乗せるのか。不採算店や人員の整理が終了し、新たなフェーズに移ったという大川社長に詳しく聞いた。
サンセットコーポレイション 大川新吾 社長
――創業社長の丹野さんは、業績悪化の引責辞任をされたそうですね。
サンセットは最盛期には売上80億円以上、店舗数も40店近くありましたが前期の売上高は33億円、店舗も21店となりました。ここ数年業績がずっと下がり続けていたので、その責任をとる恰好でした。丹野さんの株式は僕が買い取り、今66%を所持しています。
――御社の傘下にあった質とブランドリサイクルの銀蔵はどうされたんですか。
このタイミングで売却しました。
――それにしてもよく、社長就任を決断されましたね。
僕はもともとアルバイトで入社して、この会社で20年働いて取締役にまでしてもらいました。会社に何を返すことができるのか、その集大成だと思ったんです。
――愛情も愛着もあったわけですね。しかし、中古メディアは市場自体が縮小しています。勝算は。
当社の売上構成比の50%はゲームが占めています。確かにゲーム市場はピークの半分以下になっていますが、その分競合する同業者も減っている。既存店の売上高も90何%はできている。販管費を抑えて粗利益率も改善すれば、まだまだ利益が出せると思います。最終的に、パッケージの対面販売は無くならないと思っているんです。ゲームをダウンロードやネットで購入するのは、コアなユーザー。ゲームを始める人や、若年層は店に買いに来てくれる。ポケモンGO以降は、40代の主婦層の来店も増えたんです。まだまだ拾えていない層がいると感じました。
トレカの売上構成比3年後に20%へ
――トレカも強化しているようですね。
ゲームとの相性も良いですし、消去法で考えて成長分野はトレカしかない。先ほどの発言と矛盾するようですが、ゲームやCD、DVDなどデジタルは今後厳しくなる。そこでアナログのパッケージであるトレカを2本目の柱にしようと選びました。前期はトレカの売上構成比はわずか7%でしたが、今期の上半期で11%まで伸ばせました。期末には13〜14%まで増えそうです。
――どうやって伸ばしたんですか。
15〜16店でしか扱っていなかったので21店全てで取扱いを始めました。もともと遊戯王くらいしかやっていなかったので、これからアイテムも売り場も増やして、3年後には売上の20%まで持っていくつもりです。
――古着の業態も運営しています。
古着は厳しくなりつつあるので、縮小の方向で考えています。新規商材を検討していて、今取り組んでいるのは、タブレットやヘッドホンなど小型のデジタル家電。バラバラと扱っていたのを、4店に集約して販売するというのを夏頃から始めました。ゲーム本体の買取りと似ているので着手しやすいと思って。
――どうですか。
月によって売上げはデコボコしていますが、この(本部)下にある西葛西店は先月売上構成比の8%までいきました。これから伸びていくでしょう。
本社住所:千葉県市川市相之川4丁目15番6号MMスピリッツビル4階
設立日:平成5年(1993年)11月16日
資本金:5,000万円
従業員数:正社員85名、アルバイト288名(2015年4月30日現在)
決算時期:3月
業務内容:書籍(本・コミック)、ゲームソフト、トレーディングカード、音楽CD、DVDなどの買取・販売。ネットワークソフト企画・開発・販売。
店舗数:enterking(エンターキング):計21店舗、RAG&CURIO(ラグアンドキュリオ):計2店舗(2016年3月現在)
403号(2016/11/10発行)7面