ショーケースで企画展示
1階のショーケースは、スタッフがアイデアを出してテーマを決め、企画展示を行っている。取材時(2月)は聖書やキリスト教関係の資料を陳列していた
鶴見駅から徒歩5分、豊岡商店街の中にある西田書店。同店の経営理念は「文化の継承」。店内には歴史、国文学、宗教、書道、美術などの書籍が並ぶ。特に力をいれているのは神奈川の郷土史だ。
「客層は大学教授をはじめとする研究者の方が多いですね。図書館や資料館などとの取引も多くあります」と代表の佐藤健二さん。売上の7割がそうした学術機関。買取りも研究者からの依頼が多く、紹介も増えている。
もう一つ大切にしているのは「書は處(所)を得て光る」という言葉だ。先代の娘で生まれた時から本の中で育ってきた佐藤さんの妻、純子さんは「本は自分でお客様を選びます」と話す。
先日、宇野千代の「おはん」を探しているお客が来店。何万冊もある中からスタッフ総出で探していたところ、偶然お客が振り向いた先に「おはん」があった。
そうした経験が何回もあることから「本は自らあるべきところに行く」と実感。本や資料を必要している人のところに届けることも使命とし、日々努力している。
2階の売場は書道と美術
書道と美術関係の書籍を置いている2階の売場。階段を上がって右側が書道、左側が美術関連の古書になっている。「書道関係のお客様は、ソファに座って何時間もかけて本を選ぶ方もいらっしゃいますね」と佐藤純子さん
店内の本をPOPでアピール
店外に置かれた本棚には、スタッフ手作りのPOPが飾られている。この時は「スタァの素顔」という切り口で歌舞伎俳優や女優関係などの本を。一方では落語関係の本を手頃な価格で揃えた。「うちにはどんな本があるのか、お客様に知っていただく狙いがあります」と佐藤健二さん。POPを楽しみにしているお客もおり、「POPを見ると、つい1冊買ってしまう」と声も
オープン | 1947年 |
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取扱い商品 | 書籍の買取・販売及び新刊販売 |
客層 | 男:女=9:1 |
スタッフ数 | 6名 |
備考 | ◎売り場面積/40坪 ◎中古品:新古品の割合/3:7(売上比) ◎西田書店は、先代の西田貞治氏が神田にあった有名古書店・巌松堂で修業を積んだ後独立して創業。実店舗の古書店の他に、大学・図書館・博物館などの外商も行っている |
411号(2017/03/10)12面