壁一面を使った振袖のコーナー。帯、帯紐、帯揚げなども一緒に陳列し、コーディネイトがここで完結するようにしている。
「ママ振袖」も今風に変身
卒業式は個性的な着物姿で
「卒業式や成人式に、母親や祖母の『ママ振袖』を着たいという若い女性が相談に来られることが多いですね」と話すのは、同店マネージャーの前澤知弥さんだ。その時代の着物は朱赤系が多く、柄も地味目。どうしたら今風になるか悩んで来店するという。「ママ振袖も、流行の柄の半襟を合わせたり、ターコイズのような差し色のある小物を使うことで、グッとモダンになります。
リユースも新品も織り交ぜて、現代風な可愛らしいコーディネイトが提案できるのが、当店の強みです」と前澤さん。着物をどこに着て行けばいいのかわからないという声もある。「振袖は成人式以外にも結婚式やパーティーに来て行けますし、お花見に小紋を着ても華やかな気分になります。お客様が抱いている着物に対するマイナスイメージを1つ1つ払拭し、『着物を着ると楽しい』『ワクワクする』と思ってもらえる、接客を心がけています」
国立競技場にもほど近い同店。2020年の東京オリンピックは「着物業界の1つのチャンス」と前澤さんは捉えている。「着物を着たい、日本文化に触れたいと思っている外国のお客様に向け、二部式の着物や作り帯を提案するなど、手軽に着ていただけるよう、柔軟な発想で企画を考えていけたらと思っています」と前澤さんは話している。
マネージャー 前澤 知弥さん
常識に囚われず、お客様が着たいと思うコーディネイトを提案しています
女物着物を仕立て直した洗い張りコーデ!
東京山喜の本社に営業として勤務した後、「着物の可能性をもっと広げたい」と、独立を決意。入社4年目に会社を辞め、2018年7月にフランチャイジーとしてTokyo135°原宿本店のマネージャーに就任。
Tokyo135°を希望した理由は「着物を知らない層にアプローチできるから」。「原宿という、流行の発信地で、新しい着物のコーディネイトやリメイクを提案し、どれだけ受け入れられるか、試してみたいです」前澤さんが着ている着物は、女物のお召を洗い張りし、仕立て直したもの。羽織も男物の無地の着物を洗い張りしリメイクした。通常、羽織は襟を返して着るが、襟を返さず、そのままストンと着られるようにした。
こうした経験が活かされたエピソードがある。50代の男性が「少し傾(かぶ)いた着物をつくりたい」と相談。前澤さんは、女性物の訪問着を男物への仕立て直しを提案。男帯も袋帯から仕立て替え、斬新なコーディネイトに作りあげた。「お客様は『これを着て旅行に行き、みんなをびっくりさせたい』と喜んでくれました。お客様の要望に応えられるよう、先入観を持たずに、接客をしていきたいと考えています」
ショーウインドウには常に振袖を展示。男物、子どもの着物も飾り、外から見て何があるか、パッと見てわかるようにしている。また、入り口は開けておき、入りやすさを演出
袴のコーナー。二尺袖・袴のレンタルは9月から翌年1月末頃までレンタルしている
インスタを見て「一式ください」
同店のインスタグラムのフォロワーは1万人以上。コーディネイト例も多くアップしており、その組み合わせ一式を購入するお客も多い。「写真は明るく、影を作らないように撮影しています」と前澤さん。見せ方にもメリハリをつけている
海外のお客に人気の羽織。ジャケット感覚で着られるところが受けている
SNSに着物をアップするため、トルソーに着せる時も、シワに気をつけ、帯もしっかりと結ぶ。着た時のイメージが湧くように、高いクオリティを維持している
オープン | 2005年10月。2014年4月に現在の場所に移転 |
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取扱い商品 | 振袖を中心としたリユース着物、帯、小物(新品) |
スタッフ数 | 5人 |
備考 | 店舗面積/16.4坪 中古の割合/中古:新品=6:4 店頭在庫/約2000点 着物は400~500点 客単価/約1万円 Tokyo135°はリユース着物ショップ「たんす屋」の東京山喜が運営するブランド。 大学生とのコラボから誕生し、現在全国に8店舗展開している。 |
第459号(2019/03/10発行)10面