中古ベビー用品の達人
マミーズキッズの屋号で中古ベビー用品のネット販売を行っているマスト(埼玉県川越市)。代表の上楽宗之さんは、ベビーカーやチャイルドシートに徹底したメンテナンスを施し、見せ方の工夫を行い、付加価値を付けて高値で販売することに成功している。なかなか気付きにくいベビー用品販売のスゴ技を紹介する。
マスト代表取締役 上楽宗之(じょうらく むねゆき)さん
37歳。東京都出身。小学生の頃から安く買ったゲームソフトをリサイクルショップで高く買い取ってもらっていたほど、リユース品の売り買いが好き。趣味でフリーマーケットに参加していたが25歳の時に起業。中古ベビー用品サイト「マミーズキッズ」を立ち上げる。ベビー用品に特化したのは妻がバウンサーを高値で買ったのがキッカケ。ベビー用品はきちんとメンテナンスをすれば高く売れると確信。「ディズニーランドに行ってもベビーカーばかり見てしまいます」(上楽さん)
ベビーカー特有のゴミをキレイに
グミ、ラムネ、おもちゃのお金、ヘアゴム...。これらは中古ベビーカーの隙間から出てくるゴミだ。
中古ベビー用品の専門サイト「マミーズキッズ」では、シートをすべて外してキレイに掃除をする。
かかる時間は1台30分〜1時間。ベビーカーの構造を知っているスタッフが刺激の少ない家庭用の洗剤を使って丁寧に洗浄している。
ベビーカーは特殊な部品が多い上、付属品が別の場所に装着されているなど、本来とは違う状態になっていることも多い。
同店ではそれらを精査し、美品として販売できなければ部品取りをしたり、パーツで販売したりするなど、クオリティを一定に保つ努力をしている。
ヤフオクの評価「良い」が100%
商品をネット検索した時、同店の商品は他店に比べて高値が付いている。
それでも売れるのはメンテナンスがしっかりしていることや即日発送など、お客からの要望に丁寧に応えることで、高くても購入する「ブランド力」を構築したからだ。月の売上げ台数は約200台にものぼる。
代表の上楽宗之さんは「週末のお出かけに必要など、実はベビー用品は急ぎのお客様が多い。そうした要望にも対応しています」と話す。
こうした努力があって、同店のヤフオクの評価は100%「非常に良い・良い」を達成している。
ベビー売場の改善をアドバイス
同社ではリサイクルショップからベビーカーやチャイルドシートを仕入れて販売している。
豊富なベビー用品の知識と経験から、上楽さんはリサイクルショップのベビーコーナーについてアドバイスを求められることがあり、売場の改善に一役買っている(左上の写真)。
ベビーカーにほんの少しのメンテナンスを施したり、コーナーのレイアウトを工夫したりすることで見栄えがよくなり、売れるようになると上楽さんは話す。
「総合リサイクルショップはベビー用品を高く売ることが難しく、諦めてしまっている店舗さんも多いように見受けられます。私はベビーコーナーが素晴らしい店舗は全体の印象も素晴らしいと感じています。リサイクルショップとお客様の間にマミーズキッズが入ることで、ベビー用品に付加価値を付けて販売できればと思っています」
5分でできる購買意欲アップのスゴ技
解体して洗浄する時間がなくても、5分で見栄えをよくするテクニックがある。これはメンテナンス前のベビーカー。ベルトがねじれ、長さが不揃い。またロゴが入っているガードカバーの位置がズレている
BEFORE
↓
掃除機で隙間のゴミを取る。オークション価格や何才から何才まで使えるかネットで調べ、プライスカードに記載。ベルトのねじれを直し、長さを揃えてバックルに留める。ガードカバーの位置を元に戻す。「子どもが大きくなって売りに来るケースが多いので、ベルトの位置を最初のセッティング(乳児用の位置)に戻しておいてあげるとさらに親切」(上楽さん)
AFTER
シートの毛玉も毛玉取り機できれいに取っている
ベビーカーに付いているフックは外して別途販売
会社概要
マスト(埼玉県川越市)
代 表/上楽宗之
創 業/2004年(法人化は2009年)
従業員数/3名
備 考/マストは「マミーズキッズ」の屋号で中古ベビーカー、中古チャイルドシートなど、中古ベビー用品専門店サイトを運営している。
407号(2017/01/10発行)20面