数字の見方と成長の仕方を考える
日本リユース業協会(JRAA)が先月行った新春オープンセミナー。トレジャー・ファクトリーの野坂英吾社長が基調講演をし、「事業を伸ばす経営思考」というテーマで話した。「上場企業を作りたい」と学生時代から経営者を志し、実際に東証一部上場を果たした野坂社長の視点を2回に分けて紹介する。
トレジャー・ファクトリー 野坂英吾社長
①数字の見方
皆さんも日々様々な数値と隣り合わせで仕事をされていると思いますが、ただ見るだけでは当然、業績改善はしません。
私が大切にしている感覚は、〝比率で考える〟ということです。人件費、家賃、減価償却費、水道光熱費、広告費等、自社の数値がどういうパーセンテージで構成されているのか、その推移を年数ごとにしっかり見ることです。
当社の今期第2四半期決算を例にとると、人件費が対売上高比率で前年度27・8%なのが今期は29・7%。1・9ポイント、人件費が増えています。肝心なのはこれが狙ってやっている数値なのかどうか。何らかの意図があって取組みをし、その結果であればある意味健全です。しかし、そうでないのにこれだけズレるとしたら考えなければならない。
狙ってやった結果が比率の変化でどう表れたのか。そうでないなら、なぜそれが変化したかをひも解いていく。これが事業を継続して伸ばしていく為には、非常に重要なことです。
比率のズレは、事業規模が拡大するほど全体に与える影響も大きくなります。売上が100億円のとき1%変化すれば1億円の違いとなります。これが1億円分の利益の違いに直結してきます。
②自己成長の考え方
よく社員からも「どうやったら自己成長できるのか」聞かれるのですが、私がこだわっている点が2つあります。
ひとつ目が「部下からも学ぶ」ことです。当社は正社員が500人くらいいますが、役職が上がっていけばいくほど教えてくれる人がだんだんいなくなります。
新人の頃は当然たくさんの上司がいて、上司からいろいろ教われる。それが段々昇進して立場が変わっていきます。日々指導してくれる人が減っていってしまうわけですね。成長の機会を得ることがそれだけ厳しくなってくるということです。役職が上がり、その人の成長が止まってしまうという要因の1つは、私はこれじゃないかと思います。
トレジャー・ファクトリー 野坂英吾社長
1972年生まれ、44歳。「尊敬する父親を越えたい」という思いから、中学2年で社長になろうと考え、大学4年で起業準備を開始。トレジャー・ファクトリーを創業した。2007年12月に東証マザーズに上場し、2014年12月に東証一部に市場変更。趣味はマラソンで、これまでに約40回フルマラソンに出場。100キロマラソンも7回全て完走している。
410号(2017/02/25発行)11面