《ブランド市場バイヤーに学べ16》絶好の買い場が到来

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「ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!」

《ブランド市場バイヤーに学べ16》絶好の買い場が到来

2015年12月25日

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ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!

第16回 下落相場を読み解いてチャンスに!

早いもので、今年も残すところあとわずかとなりました。2015年最後のコラムとなる今回は、いまの相場情勢を読み解きながら、今後のトレンドに目を向けて今年を締めくくりたいと思います。

まず初めに...いまは国内外ともに市場のブランド古物相場は下落傾向にあります。小売りと卸売りで下落幅に違いはあるものの、2015年初頭~初夏ごろと比べれば、差は歴然です(極端な例では、今年初めに150万円で落札したバーキンが、今では市場で100万円程度の値しかつかないこともあります(汗)。

絶好の買い場が到来

大きな要因は、経済や社会情勢の変化です。国内の小売りでは、消費の支えとなって流行語にもノミネートされた「爆買い」に象徴されるインバウンド需要に、変化が見え始めたのがきっかけ。外国人旅行者のニーズが変化し、高級宝飾品から観光や日用品へと消費がシフトしてきて、爆買いに陰りが見えつつあります。

海外の卸売りは、円安基調が持ちこたえたことから相場は比較的良好ですが、記憶に新しいパリで起きたテロに加えて、某自動車メーカーの排ガス不正問題の懸念がくすぶっていますね。特に、後者の問題の影響もあってプラチナ価格の下げ基調が強く、宝飾品の相場には先行き不透明感が漂います(自動車部品の触媒であるプラチナ需要が下がるのでは、との市場不安によるもの)。

そして、最近はブランド腕時計の相場にもハッキリとした変化が表れています。ウブロやパネライ、フランク・ミュラーなど、人気を博したブランドが軒並み値を下げています。一時のデカ厚時計ブームが落ち着き、中古市場に放出されたことで飽和状態になりつつあるようです(ただし、この辺りは以前が過熱しすぎで、今が適正な相場だとの声もあります)。

以上の理由から、いま現在は相場が全体的に下落気味です。今後の予測としては、国内の年末商戦の売れ行きがひとつの試金石になるかと思いますが、個人的にはさらにもう一段階の相場下落があるのでは・・・と感じています。

先ほど例に挙げたバーキンのように、いまは過去に高値で買った品物の相場が下落し、損失を回避したい売り手と、相場に照らし合わせて安く手に入れたい買い手との間にギャップが生じています。売り手としては、赤字を覚悟の上でも安く売って在庫の回転率を上げる判断も迫られますので、難しい局面が続きそうです。

とはいえ、悪いことばかりではありません。相場が下がっている現在は買い手にとっては「チャンス」ともいえますね。相場上昇の材料に乏しい今なら、市場初心者の方にも比較的買いやすい状況といえるかもしれません。当社が提供している「相場検索ドットコム」などの相場比較サービスを活用しながら相場を読み解けば、新春に向けた買い付けに弾みがつくかもしれませんよ!

さて、今年も一年間お付き合いいただきありがとうございました。2016年もブランド古物市場にまつわる様々なトピックをお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いします。それでは少し早いですが、皆さんよいお年を!

アールケイエンタープライズ 齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

382号(2015/12/25発行)13面

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