第3回 下見に参加してみよう
今回はより実践的な内容として「下見」についてお伝えしたいと思います。下見とは、「競り前に商品をあらかじめ見定める」ことです。大会では競りの前に数日間の下見期間が設けられます。これは出品数量の多い大会ならではの仕組みで、競りの前に商品の内容を把握することで買い手は適正な相場感を持って参加できます。競り当日は、次々と商品が競りにかけられますので、下見でしっかり準備しておかないと、買値を発することすらできないことになりますよ。
私は「下見で競りの勝敗が決す!」といっても過言でないと思っています。下見は、限られた期間でより多くの商品に触れて直近の相場情報と照らし合わせ、参加するバイヤーさんの顔を思い浮かべながら、適正な入札金額を予測する大切 なフロー。このときに決めた金額如何で、本番当日に目当ての品が競り落とせるかどうか、あるいは必要以上に高く入札して損を抱え込まないか、といった要因に影響しますから、大会に参加するなら力の入れどころです!
下見で競りの勝敗が決す
さあ、いよいよ実践です。下見会場に着いたら、まず受付を行います。初めて参加する市場なら、名刺と古物商許可証のコピーを持参した方がいいでしょう。(市場によりますが) 下見費用として1,000円程度の代金を支払い、商品の詳細が 記された「下見本」と下見の内容に訂正がある場合は「訂正表」、出品箱数を記した「チェック表」を受け取ります。
下見本
会場に入ると、所狭しと積み上げられた出品の箱に圧倒されることでしょう。私どもが主催するオークションを例に挙げると、時計や貴金属の下見会場では各テーブルに50箱ずつ商品が積まれた「シマ」となっています。どのシマから見ても自由ですから、空いているテーブルから座りましょう。「商品の扱いは丁寧に(万が一にも商品を破損させたら一大事!)」「出品タグや物の入り繰りがないように配慮する」この辺りはマナーとして心がけたいところ。
下見会場の様子
商品の下見で注意深く見ておきたいのは「物の程度」。機械式時計であれば、ベゼルとダイアルのヤケや風防欠けの有無、ブレスレットのノビ具合はもちろん、内部動作もできるだけチェックします。
とはいえ、何百何千とある商品一点一点に時間をかけていられません。内部動作など要点を確認したら、商品の写真を撮ってあとで調べる手もあります。会場内は基本的に撮影OKですから、気になる商品はじゃんじゃん撮影しておくのが オススメです。ネットで大方の相場は調べられますから初心者のうちは焦らず、じっくり調べましょう。
どの市場も初心者の方は優しく迎えてくれるはず。まずは実際に行ってみて、空気を肌で感じてみてくださいね。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
356号(2014/11/25発行)3面