空間や交流、「体験型の付加価値」に
本を読みながらコーヒーを楽しめる 〝ブックカフェ〟が、全国でじわりと広がっているようだ。日本ブックカフェ協会(東京都文京区)によれば、「調査データではないが、全国に500店ほどあるのでは」(河野真代表理事)言う。
本の小売・閲覧とカフェが融合したブックカフェ。写真はFOLK old
ブックカフェは時代小説や純文学などジャンルやテーマを持つものから、絵本の読み聞かせなどイベントを行う店舗など、店により様々なタイプがある。「お客さんは嗜好に合う店を探して心地よく感じたり、そこで店主や他のお客さんとの交流を楽しんでいます。リアル店でしか味わえない魅力が、本好きの心を捉えているようです」(河野代表理事)。
アマゾンやECが台頭し、ネットで探して簡単に注文するという購買様式が浸透した。リアル店も大型店化し、とにかく品揃えを重視する店も少なくない。だがそこには、〝本を売るだけ〟という、ある種の無機質感も漂う。一方のブックカフェは、本とそれに関わる人との出会いという、「体験型の付加価値」(河野代表理事)を提供できる。
社会貢献事業としてのブックカフェ
ブックカフェはソーシャルビジネスとしても注目されているようだ。日本ブックカフェ協会は開業支援講座を提供するが、「子育て支援のため絵本の読み聞かせをしたい」、「地方の空き店舗・商店街を活用したい」など、様々な動機で問合せがある。「最近では廃校を活用したブックカフェを九州にオープンし、地域活性化に繋げたいという問合せもあった」(河野代表理事)と話す。
協会のHP。ブックカフェに関する情報を得られる
協会概要
設立:2015年8月
目的:ブックカフェの認知度向上と普及
事業:
・ブックカフェの設立支援および運営支援
・ブックカフェの運営に関する情報の提供
・古書・古本の流通に関する支援
・カフェの食材・消耗品の仕入れの支援
・オーナーの相互研鑽の機会の提供 等
日本ブックカフェ協会 河野真代表理事
413号(2017/04/10発行)15面