工具買取店「工具男子」を展開するタナクロ(埼玉県さいたま市)は、月間100〜200件の工具類の買取査定を行う。「半分くらいは買取りにつながっています」と語るのはリユース事業の吉澤光弘部長。主な客層は30〜50代男性。価格以外でも満足できる要素を、〝会話〟を通して作り出しているという。
タナクロ(埼玉県さいたま市)
吉澤光弘氏
査定に入る前に、お客が持ってきた物に対して第一印象や感想を伝える。「いい物をお持ちなんですね。どういうお仕事をされているんですか?」
まずは物を褒めるのが大切。使っていた場面が仕事なのか趣味なのか、それを尋ねるだけでも、お客の思い入れや、どれくらいの気持ちで手放しても良いと思っているか、探ることができる。
ポイント1
相手とその人の商品に興味を持って質問をしてみる。その回答からさりげなく気持ちを察し、信頼関係を築き始める。
査定は目と耳で
お客の目の前で査定をし、その間も会話を続けていく。「購入したのはいつですか?使用頻度は?」購入時期や使用頻度から品質や状態を目と耳で確かめていく。
ジャンク品もOKのため、それを持ち寄るお客もいる。お客からすると動かないというだけでジャンク品だと認識する人がいる。いざ実際に査定をしてみると、単なるモーター焼けやプラグの故障が発覚することも。「ご自身で、ここの部分をちょっと直すだけでも、現状より高値で買取りできますよ」と伝えて、お客にとって損がないよう、正直に対応をすることで信頼関係は深まっていく。
そのほかにも、「うちはアウトドア用品も扱っているんですよ」と、時折関係のない話題も織り交ぜていく。「大工をしているお客様で、以前コンプレッサーの買取依頼でいらっしゃった人がいました。前職がクライミングジムのスタッフで、うちでアウトドアも扱っていますと伝えたら、後日クライミングシューズを出品していかれました」と語るのは、もう一人のバイヤー・北村一樹さん。
428号(2017/11/25発行)7面