《トップ INTER VIEW》大宮電化 青木 義宏 社長~100店に向け、今期は若手育成~

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《トップ INTER VIEW》大宮電化 青木 義宏 社長~100店に向け、今期は若手育成~

2018年05月20日

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ハードオフグループのフランチャイジーで、埼玉を中心に63店舗を展開する大宮電化(埼玉県さいたま市)。ここ3年は年7店ペースで出店を続けてきたが、今期は100店展開に向け、一旦若手の育成に力を入れると青木義宏社長は話す。同社は2016、17年と2年続けて新卒を16名採用した。戦力化の方法を聞いた。

~100店に向け、今期は若手育成~
大宮電化 青木 義宏 社長

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労働分配率を意識し生産性アップ

5年以内に100店達成へ

――ハードオフ加盟企業の中でも御社の店舗数は多いと思いますが、今後の出店計画は。

青木 当社の店舗は東京の西新井と千葉の野田以外、全て埼玉県内にあります。かなり網羅してきた感覚はありますが、例えばさいたま市東部は、人口が多いが空白地帯。5年以内を目処に、海外も含め計100店は展開していきたい。

――埼玉以外にも出店を計画しているんですね。他のフランチャイジーとぶつかりませんか。

青木 「大宮電化は埼玉を中心に...」という決まりがあるわけではなく、日本中・世界中のどこに出してもOKなんです。但し、直営でも他法人のFC店でも、既存店への配慮が必要。具体的には、各店舗を中心に10万人の人口が入る円を描いたとして、この円同士が重ならないような出店でないといけない。最終的に出店OKかどうかは本部が判断します。

12種類の研修でコミュ力育てる

――やはり今期も出店に注力ですか。

青木 いえ、実はそうではないんです。今期中の出店はひとまずお休み。人材育成に注力します。特に、新卒で入社した若手をできるだけ早く店長にキャリアアップさせたいです。入社1~2年で店長になるのはなかなか難しくて、基本は4年くらい。それよりもちょっと早いのが理想です。

――ここ数年、新卒入社は何人くらいですか。

青木 2016年と17年はそれぞれ新卒入社 が16人です。15~17年の3年間は年7店ペースで出店し、出店を加速させていました。当社はハードオフ加盟企業の中でも出店ペースは速い方ですが、そういう戦略もあって、この頃多くの新卒を迎え入れました。

――青木さんが店長に望む資質とは。

青木 ものすごくやる気を持って入社したとしても、店長になるには結構ハードルが高くて...要はマネジメントの部分を要求していかないといけない。例えば1店に社員が2~6人居て、パート・アルバイト(PA)が10~30人程。新卒の若手が、PAをマネジメントしないといけないんです。PAとのコミュニケーションを円滑にとれるかの資質を求めています。

――コミュニケーション力を上げるための施策として行っていることは何かありますか。

青木 今年度の計画では計12種類の研修を用意しています。特に、スタッフとの関係をどのように図っていくかに関しては、年3回の「リーダー育成研修」や年1回の「新任店長研修」を通して、「スタッフマネジメント」を学んでもらいます。特にリーダー育成研修の受講者には、店長候補の若手社員を各店舗から選び、「店舗内の人間関係で、どんな問題が起きているか」などの課題を事前に持ち寄らせます。月1回3ヵ月連続で行いますので、その間にディスカッションをして解決策を考えたり、講師もエリア長などが担当しますから、アドバイスしたりしています。ここ2年では、若手社員が年に10人ずつ参加しています。

――若手の育成をすることが、その後の出店や御社の成長につながりそうですね。

青木 ええ。中長期的には、グローバル人材の育成についても目標に据えています。すぐに海外出店というのは正直難しいですが、今年がグローバル人材育成の元年だとしたら、英語研修もプログラムに入れていかないと...というスピード感です。

労働分配率 今年度36%目指す

――人材育成の他に、注力するテーマはありますか。

青木 今年度のテーマは「生産性向上」。例えば16年度の既存店売上前年比が91%と酷かった。それまでは98~99%を維持していたが、なぜこんなことが起きたかというと、同年にオープンした坂戸にある大型店が大きな原因です。商品を全部吸い取られ、既存店の売上が落ち込みました。これに危機感を覚え、17年(昨年)度の既存店売上高は16年度対比で99%と健闘。しかし、新卒採用による人件費も上がってきたところだったので、明らかに人件費あたりの生産性の低下が見られた。何とかせねばという思いで生産性向上をテーマに据えました。

――生産性というのは何を指標に計りますか。

青木 「労働分配率」を見て、生産性の良し悪しを計ります。「労働分配率=人件費÷粗利益額」で、この値が低いほど生産性が良いということです。16~17年度と2年続けて急上昇し、現在既存店の労働分配率が約41%。今年度目標は、既存店粗利額を10%アップさせ、労働分配率36%を目指します。

――どのようにして労働分配率を下げていきますか。

青木 売上・粗利をぐっと上げていかないといけない。そのための1つがネット販売です。当社でもネット専門チームを据えています。前期のネット比率は2・1%だったが、月間で3%程の時期もあった。よそのFC法人では10%を超えるところがある。今後の伸び代は大きいと期待しています。

商品知識は、各自「動画研修」で

――店頭接客の面で強化ポイントはありますか。

青木 ここ数年、若い世代や比較的時間に余裕がある人を中心に、フリマアプリなどによるネット取引高が拡大している。しかし、リアル店にはリアル店こそのホスピタリティを提供できます。当社ではまず、挨拶や清掃などを徹底し、「気持ち良い接客」を意識させています。また買い取りのシーンで言えば、換金スピードや、一度に手放すことのできる量は、ネットよりもリアル店の方が強い。フリマアプリの方が高く売れるという意見もありますが、逆に言えば、その差額こそが、我々が提供する知識・技術を通しての対価なんです。

――知識や技術をつけるため、スタッフに向けて行っていることは。

青木 今年から始めたのが「動画研修」。実際に楽器やオーディオ、時計、ゲーム機などを扱うには高度な知識が必要で、新入社員にとっては全くわからないものです。例えばオーディオならコードのつなぎ方とか、時計ならコマの詰め方とかを動画で学ぶことができます。自分のスマホなどから自分の好きな時に見て勉強しましょう!と提案しています。1コンテンツ10分もしないくらいです。効率よく商品知識をつけて、それを買い取りや販売での接客につなげ、売上アップをという狙いです。

第439号(2018/05/10発行)9面

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