《着物リサイクル春夏秋冬》第219回 横浜タカシマヤ たんす屋まつり
2018年12月08日
▲東京山喜 (店名・たんす屋) 中村 健一 社長
1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。
バイセルとの初催事でメリット実感
集客と品揃えで売上は予算の倍
10月24日から28日までの5日間、横浜タカシマヤで「リユース着物 たんす屋まつり」を開催させて頂いた。この催事は実績の無い催事だったが、弊社が今年3月に立ち上げた「森田空美の知的着物美人」を初めて髙島屋さんで展開すると言う切り口で受注した催事である。更に、8月に商品の供給と百貨店での共同催事展開で事業提携をスタートした「バイセルテクノロジーズ」から商品の供給を受け、告知の部分でもアライアンスを組み、百貨店で初となるたんす屋とバイセルの共同催事になった。
結果的には、横浜タカシマヤさんから頂戴した予算の倍以上の売上を上げることができ、タカシマヤさんにも喜んで頂いた。また、んす屋サイドもバイセルサイドも共同で催事を展開するメリットを実感することができる催事となった。
たんす屋が担当した9つの部分
共同催事を展開するにあたり、たんす屋が担当した部分は、下記のとおりである。
①催事の受注会社として、約200坪の会場設営に関する段取り。この部分は、呉服問屋時代か ら長年の取り引き関係があるので慣れた部分である。
②横浜タカシマヤさんが作成し、折り込みされえう25万部の両面折り込みチラシのコンテンツ提供とコストに関してのタイアップ。
③横浜タカシマヤさんの外商顧客に対しての「森田空美の知的着物美人」企画の招待状の作成。
④横浜タカシマヤさんの近隣約20店舗のたんす屋による集客。具体的には、独自作成の両面フライヤーの店舗配布。店舗ごとの顧客に対してのDM発送。メルマガ、ブログ、各種SNSでの催事情報発信。
⑤集客企画の立案とクーポン券の作成。今回は着物や帯の下取り企画を導入し、一人5点まで着物や帯何でも1点500円の催事場で使えるクーポン券で下取りする企画を導入した。
⑥1000円クーポン券の導入。これは、催事場で使えるクーポン券を全ての告知物に付けることで、来場促進を図るだけでなく、クーポン券の色分けをする事で全ての告知物の費用対効果の測定を可能にする。
⑦リユース商材と新品商材及び加工に関わる人材の投入。
⑧近隣約20店舗からの販売員の投入。
⑨「森田空美の知的着物美人」コーナーの設営と森田空美先生の招聘。たんす屋が担当した部分は、ざっとこの様な内容である。
大きく分ければ品揃えに関わるもの①⑦⑨。売り手揃えに関わるもの⑧。そしてお客様揃えに関わるもの②③④⑤⑥。この様に分かれると思う。
「行ってみたい」が重要かつ難しい
どの様な催事であっても売れるか売れないかは、売れ筋商品が揃っているか、優秀な販売員が揃っているか、そしてなによりも買う 気満々のお客様がいらして頂けるかの三点にかかっている。当然ながら、そもそも売れ筋商品が揃っていなければお話にならない。はじめに売れ筋商品ありきである。更に、着物の様な付加価値商材の場合は、優秀な販売員無くしては容易に購入には至らない。
しかしながら、実は最も重要で最も難しいのがお客様揃え、つまり集客である。当然ながらこの集客を最も左右する要素は、魅力ある売れ筋商品の品揃えであることは間違いないが、この魅力ある品揃えを多くの方々に行ってみたいと思って頂けるようにお伝えすることが、最も重要かつ難しい事ではないだろうか。
リユース着物1800点投入
次に、バイセルさんに担当して頂いた部分は下記の通りである。①売れ筋リユース着物と帯の供給。今回は1800点、上代金額で約5800万円の商品を投入して頂いた。内容的に非常に魅力ある品揃えであった。②
優秀な販売員の投入。今回は、ベテラン社員とアドバイザーの方々に期間中フルに来て頂いた。③ネット広告によるOtoO集客。これは、坂上忍さんが登場するバナーをヤフー、グーグル、FB、インスタグラム
などで約3000万回以上表示して頂き、クリックすると1000円クーポン券をゲットできる仕組みである。④テレビ取材の動員。催事初日10月24日の朝一番にテレビ朝日の「グッドモーニング」に取材に来て頂き、翌朝のニュースとしてこの催事を報道して頂いた。
この中で最も重要な事は品揃えである。たんす屋の手薄なリユー ス着物と帯のアイテムと価格帯をフォローして頂いた結果、投入点数の約37%が販売でき、全体売上の約36%を構成した。更に、バイセルさんの得意なマーケティングを活かした集客で、たんす屋が単独ではできない成果に繋がった。催事終了直後に私とバイセルの片岡副社長で、横浜タカシマヤさんの担当の方に挨拶にお伺いし、このパターンでの催事を来年4月か5月に、更に1年後の10月にも開催したい旨をお伝えし好感触を受けた。これを機に一気に全国の有力百貨店で展開したいと考えているが、いかがだろうか。
第452号(2018/11/25発行)18面