《バイヤー道~私の買取接客術~》山岸光介店長、サイクル衣料、タグ見て偽物除外 面白動画で店舗送客
2019年02月21日
バイヤー道
~私の買取接客術~
中古サイクリング衣料を専門とするビチアモーレ外神田店(運営:BAインターナショナル・兵庫県芦屋市)。
自転車の愛好家らが集う同店には、月に300~400人のお客が商品を買い求める。走行時の空気抵抗軽減を考慮し作られたサイクルウェアは、一般的な衣料と異なり、肌に密着させて着用するものばかり 。ニッチな商材であり、多くのリユース会社が扱っているとは言えないだろう。自身でもサイクルスポーツを嗜んでいるという山岸光介店長に、買取・販売の接客術を聞いた。
【買取】10件に1件はコピー品。タグと状態を確認し1分査定
ラファ、パールイズミ、カペルミュール。これらがサイクルウェアの主要ブランドだ。山岸店長は各ブランドの買取相場をインプットし、お客が持ち込んだウェアの状態を見ながら1分以内でおおよその査定額を提示する。1人が1回に持ち込む量は上下セットで5着程度。山岸店長は査定額提示までにお客へ質問は一切しない。査定に必要なのは、汚れや破れ、匂いの確認は勿論のこと、最も見極めるべきポイントはコピー品かどうか。一般的に「(ネーム)タグ」と呼ばれる物は、首元や胴の下部などにブランドロゴが織られている。しかしコピー品の多くはタグが生地に直接プリントされ、1年程前まで、10件に1件はコピー品が交じっていた。このようなケースでは 、店内にある純正品を取り出し、お客にコピー品と見比べさせる 。「新品の相場は1着1万5000円程度。ネットから4000~5000円で購入した物はコピー品であることが多い。当店ではそれを買い取らず、しっかりと説明することで信頼が生まれ、リピーター客となる方が多いです」(同店長)
【販売】似合うかどうかより、機能性推す
お客がふらっと立ち寄るような極普通のアパレル店と違い、サイクルウェアに特化した同店のお客は目的型の来店だ。山岸店長は自分からほとんど声掛けすることはなく、気軽に商品を吟味して欲しいと話す。一方で、悩んでいる人には応じていく。例えば、商品を手に取り「これは、どうですか?」とお客に意見を求められた時、山岸店長はデザインやその人に似合っているかどうかについてはあまり言及しない。サイクルウェアに求められる機能は、まず防寒面。
値段により、生地とその質には大きな違いが出てくる 。あとはサイズの関係もあるので試着を勧める。「お客様に対し、絶対にうちで買って!とは思わないようにしています。当店に在庫が無い物は、近くで新品を扱う専門店を教えることもあります。お客様は新品・中古を使い分けている 。サイクルウェアは安かろう悪かろうではダメ。サイクリングをしっかり楽
しんでもらう上で道具はしっかりと選んで欲しい」(同店長)
▲店内にはサイクルシューズも取り揃える
YouTubeでハイテンション。店舗送客に繋げる
「買取査定時は質問しない」「店内では声を掛けない」。ここまで読むと「山岸店長は物静かな人?」と思われがちだが、同店長は"別な顔"を持っている。それはハイテンションなユーチューバーだ。昨年夏より同店公式YouTubeを立ち上げ、週1~2本のペースで7分程度のコンテンツをアップし続けている。
現在チャンネル登録人数は約600人で、主に同店の利用客が視聴しているものとみられる。同店のセール情報や商品情報の他、自転車パーツの交換方法などを配信。時折他のスタッフとコントを披露し、面白おかしく作り上げている。
第457号(2019/02/10発行)13面