第17回 年度末まで売り・買いの狙い目とは?
ちょっと遅めですが、皆さん明けましておめでとうございます。2016年もブランド古物市場にまつわる様々な情報をお伝えしていきますので、よろしくお願いします!
...明るく始めてみましたが、2016年の古物相場は年明け早々、波乱の幕開けとなりました。皆さんご存知のとおり、現在は新年の取引開始と同時に急落した上海株式市場のあおりを受けて、世界的な株安トレンドが続いているからです。
春節(旧正月)前、買い需要高まる
昨年末に120円をキープしていたドル円相場も、この原稿を書いている1月中旬現在では117円まで上昇。株安&円高のダブルパンチで、相場の下落圧力が強まっている状況です。こうした背景から、年明け一発目となる全国の古物市場の相場が、年度末までのトレンドを占う試金石となりそう。市場が発信する相場情報や概況は、いつも以上に注目しておきたいところです。
さて、前置きが長くなりましたが今回は「年度末までの売り・買いの狙い目」を考えてみたいと思います。あっという間にやってくる年度末=決算期に備えて、売り・買い共に効率良く立ち回りたいものです。
まず、売り手の目線でいえば、1月下旬から2月前半までが狙い目といえます。多くの企業が3月に決算期を迎えるため、買い気がやや鈍る時期ではありますが、卸・小売りとも大きなイベントと重なるタイミングでもあります。3月上旬に香港で開催される「インターナショナル・ジュエリー・ショー」はその代表格。国内からも多数の企業出展が予想されますから、そこにフォーカスして市場で在庫を確保する企業もいるでしょう。
(ちなみに、宝石に関しては昨年末までは中国市場向けの商材として、エメラルドやルビー、翡翠といった色石に人気が集まっていましたが、中国経済の失速によってやや先行き不透明です。このあたりは1月に東京で開催された「国際宝飾展」などのトレンドを踏まえて、売れ筋商材を見極めていく必要がありそうです)
また、恒例となった感のある中国の春節(旧正月) も間近に迫っていますね。中国経済の失速から、市場では昨年ほどのインバウンド需要は見込めないとの見方が多いものの、やはり期待がかかります。今年の春節は2月8日~13日と昨年より10日ほど早いため、その直前までに小売り企業から買い需要が高まることが予想されます。
反面、買い手の目線でいえば、相場の下げ基調が続いている現在は絶好機といえます。あえて狙い目を挙げるなら、やはり2月半ばから3月。「大手」と呼ばれる企業の多くが買い控えるため、相対的に買いのハードルが下がってくる時期でもあるからです。市場に放出される在庫も年間を通じてもっとも増えるタイミングですから、懐事情が許すようでしたら積極的に買いに回るのもおすすめですよ。
波乱の幕開けとなった2016年は、売り・買い共に、年度末まで待ったなし!株価や為替、イベントの情報をしっかりとキャッチして、バイヤー業務に努めていきたいですね。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
384号(2016/01/25発行)13面