【セラー道~私の販売接客術~】haikara東中野店(東京都中野区) 図師剛平店長
2019年05月20日
信号待ちでファッションチェック
流行に応じ変化させる古着店
タグなし商品オール500円で打ち出す古着店のhaikara。「お客様への声掛けは得意ではない」と話す東中野店の図師剛平店長は、安心感と変化を提供しながら店を切り盛りする。また、トレンド情報の収集源はファッション雑誌と道行く人だ。同店長の店づくりの術に迫った。
「お客様に声を掛けるのはあまり得意ではないんです...」
そう話すのはhaikara東中野店の図師剛平店長だ。約10年に渡りhaikaraに勤めてきた図師店長が、店づくりにおいて重視しているのは「安心して買い物ができる場所」。リラックスして買い物を楽しんでもらえるようにと、声掛けは「いらっしゃいませ」「試着は自由にできます」に留めている。
haikaraといえば、「タグなし商品オール500円」が売り。それに関連したポップを店内に多数貼り付けているが、「これはいくらなの?」と尋ねてくるお客は後を絶たない。「タグなし商品は全品500円です」のアナウンスを時折交えていく。
起床してすぐ天気と気温のチェック
図師店長が店づくりにおいて次に大事にしているのが「季節や流行に応じた変化」だ。図師店長の1日はまず、起床後にスマホで天気と気温をチェックすることから始まる。
「例えば雨の日や肌寒い日なら、ナイロンジャケットを店先に出してみる。すると、雨避け用にと衝動買いが誘発できるんです」(同店長)
トルソーに着せる洋服もほぼ毎日変えているという。
図師店長にとっての情報源は男性・女性誌問わずファッション雑誌。日頃より隙間時間を使い読み漁っている。車通勤の途中で信号待ちするときも、道行く人のファッショントレンドをチェックするほどだ。
「僕の中で鉄板コーデなのはデニムのショートパンツ。街中を見渡してみたときに、あ!これ始めてみよう!と取り入れてみたことがあった。今では毎年、6月頃から月100着は売れていきます」(同店長)
暖色系照明は2~3割 商品本来の色伝える
照明の使い方にも工夫を凝らす。「格好良い店によくある、ちょっと暗めだけど暖色感のある店」(同店長)とは異なる趣向だ。暖色系の照明は壁際に設置し、間接照明としての機能だけに留める。全体でも2〜3割程度しか使わない。白色系の灯りを多く取り入れることで、お客には商品本来の色味を伝えるようにしている。
服の陳列、右手でとって正面になるように
ラックにハンガー掛けした服を掛ける際、右手でそれを掴んだときに服の正面が見えるように掛ける。すると右腕を利き腕とする多くの人にとっては、商品が取りやすくなる。必ずしも、店の入口から服の正面が見えるような陳列が正しいというわけではないと図師店長は話す。
第463号(2019/05/10発行)13面