テクノタイムサービス、多数の時計修理技能士が在籍し月間6000件の修理依頼に対応
2019年10月18日
月間6000件もの時計修理をこなす、時計修理専門企業・テクノタイムサービスの横浜テクニカルサービスセンター(神奈川県横浜市)。数多くの時計修理技能士とオペレーターがおり、大口の取引にも対応している。安価時計から高級ブランド時計まで、どんな修理にも対応し年々規模を広げている。同社の強みを探った。
横浜テクニカルサービスセンターの外観
時計修理技能士が61名在籍
同社が扱う修理件数は、グループ会社からの修理や電池交換なども含めると、月間の取扱数は7000件を超える。ほとんど法人からの修理依頼で、最近増えているのが、ブランド買取店からの依頼だ。買取店からの修理依頼は全体の2〜3割を占める。
これだけの修理をこなせるのは、時計修理技能士の資格をもった61名もの修理士が在籍しているからだ。本社で作業をしているのは約25名で、その他、ホームセンターや家電量販店などの修理コーナーにも修理士が出張している。女性の時計修理士も18名在籍している。
クレームを防止する上で気を付けているのは、受付時の時計の状況を正確に把握すること。オペレーター(下写真)が25名おり、キズや変色、部品が取れている場所などを細かく伝票に記載。時には写真撮影をする。
「直接お客様からお預かりしないので、クレームにならないようにチェックをしています」と常務取締役の諸井寿正さんは話す。
常務取締役 諸井寿正さん
どんな時計でも修理可能
同社の強みは安価な時計から数百万円する高級ブランド時計まで対応できること。オーバーホールから仕上げまで、社内ですべての修理ができ、アンティークにも対応している。文字盤の書き換え(リダン)も受け付けている。
また部品がないものは時計用精密旋盤を使い、社内で製作している。
時計用の精密旋盤。アンティーク時計や部品が手に入りづらい時計の部品を製作している
オメガを研磨機にかけているところ
様々なバフや専用機材を使って研磨
「サンドブラスト」「鏡面」「ヘアライン」など仕上がりによってバフを使い分けている
時計修理のセミナーも開催
時計修理のセミナーを開始したは8年ほど前。取引先の時計店から「後継者やスタッフに時計の修理方法を教えてほしい」と頼まれたのがキッカケだ。
電池交換の1日コース、クォーツ分解の2日コース、機械式分解の2日コースではそれぞれ時計修理技能士の資格試験(3〜1級)のアドバイスもしており、試験前に受講するケースも多い。
この他、電池や時計のパーツ、工具などの通販も行っている。パーツ販売の際、どのように修理をしたら良いか、アドバイスを書いた解説書も一緒に送ることもある。様々なノウハウを蓄積している時計修理専門企業ならではのサービスだ。
社内にあるセミナー室。年間30講座以上ものセミナーを開講
買取販売店のパートナーに
「今後は買取販売店との取引を増やしていきたいと考えています。弊社ではメーカーさんに修理を依頼する場合に比べ、安く修理ができます。再販時のメンテナンスや、販売した後のアフターサービスの一環として利用してもらえたら嬉しいです」と諸井さん。
営業部マネージャーの長原哲司さんも「これだけの規模で修理をしていることをあまり知られていないので、認知度を上げていきたいですね」と話す。
営業部マネージャー 長原哲司さん
これまでBtoBのみの取引だったが、今後は個人からの修理も受け付けていきたいと考えている。
「近くに修理店がなく、どこに依頼したらいいか悩んでいる方もいると思いますので、そうしたニーズにも応えていきたいですね」と、諸井さんは話している。
ロレックスのオーバーホールを行っているところ。手際よく作業が進められていた
4階の修理部門。ここでオーバーホールや修理を行う
テクノタイムサービス(本社:東京都中央区)
●創立/2000年10月
●社員数/132名(パート含む)
●社屋面積/全259坪(2〜4階)修理・オーバーホールなどを行う4階の広さは64坪。その他、研磨、通販、修理受付などの各部門がある。
●備考/テクノタイムサービスは、時計の企画・製造・販売をしているクレファー(東京都中央区)の修理部門が分社化し創立された。
第473号(2019/10/10発行)7面