たんす屋、「オンライン着付け教室」着物の潜在需要を顕在化したい
2019年11月08日
着物リサイクル春夏秋冬 第230回
1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。
無料の着付け教室よりも割安?
着物や帯を借りて自宅でレッスン
たんす屋で、オンライン着付け教室を立ち上げようと考えている。このアイディアはFCオーナーの一人から聞いて、即刻決めた新規事業である。
現在、オンライン英会話教室が花盛りだとういう。オンライン英会話教室の強みは、なんと言っても高い家賃を払って好立地に教室を借りる必要がないことである。更に、先生も生徒も時間と交通費をかけて移動する必要がないことだ。
着物業界では、昭和40年代から着物着付け教室が流行りだし、多くの大手着物着付け教室が誕生した。しかし、平成の時代に無料着付け教室が登場して、多くの従来型の着付け教室は駆逐されていった。
今も"着物が一人で着られたら"と思っている女性は多く存在している。たんす屋の一部店舗では、着付け教室を実施しており、着物が着られないお客様に着付けをお教えする事が、着物の販売につながっていくことは検証済みである。しかし、残念ながら多くの店舗ではスペースと人材の問題で、着付け教室を開催することができない。
たんす屋は、この20年間「着物が高い問題」を解決することで市場創造してきたが、「着物が一人で着られない問題」には充分な対応ができていなかった。そこで、この問題を解決する為の画期的な施策が「たんす屋オンライン着付け教室」である。
全国の店舗で着付けを習いたい人を募集
お試し無料体験で手応えをつかむ
「たんす屋オンライン着付け教室」の基本コンセプトは「自宅で学べるマンツーマン着付け教室」だ。先ずは、たんす屋の全店舗で「たんす屋オンライン着付け教室」の募集をする。「たんす屋オンライン着付け教室」の一番の強みは、"着付けを習う折に必要な正絹の着物と襦袢と帯と帯締、帯揚を無料でお貸しします"である。但し、素肌に付ける物は、準備していただく。
2番目の強みは、無料体験レッスンを受けてもらう事である。やはりお試しで体験レッスンを受けてもらうことで先生との相性もわかるし、オンラインで着付けを習得できる様になる手応えをつかんで貰えると思っている。
3番目の強みは、自宅で学べることだ。着付け教室に通っている女性へのインタビューで、"着物と帯と小物一式をカバンに入れて持ち歩くのが大変"、という声が多くある。「オンライン着付け教室」ならば、重い荷物を持って通う必要は無い。
4番目の強みは、マンツーマンでのレッスンである。一人の先生に数人の生徒の場合には、生徒のレベルに差があって、自分が一番聞きたい事を聞けなかったり、逆にレベルの低い人に時間を取られるリスクがある。マンツーマンでは、100%自分のペースで習うことができる。
終了時にスクーリングも
基本は、週1回のペースで12回、3ヵ月間で自装(自分で着られる)コースが終了する。当然ながら、先生とのマンツーマンであるから、先生との都合が合えば期間を短縮することも可能だ。
あとは、ワンレッスンの時間と価格を考えている。ワンレッスン90分を2000円では如何だろうか。90分は大学の授業もそうだが、緊張が持続可能な時間である。2000円は、基本的にお客様目線でリーズナブルな価格を模索している。
無料着付け教室と違って、きちっと授業料を支払って習っていることも大切だと思っている。しかし、着付けを習う折に必要な着物や帯を無料でお貸しするので、実際には無料着付け教室よりも割安かもしれない。
さらに、自装コースの終了式には、スクーリングを計画している。首都圏では有楽町の東京交通会館、京阪神は天満橋のOMMで開催する予定である。
着付け出来れば購入率が向上
「オンライン着付け教室」それ自身では、利益はあがらない。しかし、自分で着物が着られる様になったお客様は、着物をご購入して頂ける可能性が飛躍的に向上すると確信している。
従来型の着物着付け教室は、有料であっても無料であっても、常設の着付け教室を好立地にリーシングすることで高額の賃料が発生する。更に、生徒募集にも多額の費用がかかる。
「たんす屋オンライン着付け教室」の強みは、全国100店舗を超えるリアル店舗で、着物の着付けを習いたいお客様を募集できること。そして、これに関しては基本的にノーコストでできる。更に、「たんす屋オンライン着付け教室」は、先生も生徒も自宅で教え、自宅で学べるモデルであるから、高額な賃料も光熱費も先生の交通費もかからない。その分、お客様にはリーズナブルな価格で着物の着付けを習う機会を提供できる。
「たんす屋オンライン着付け教室」で、若いお客様に潜在している、「自分で着物が着られる様になったら良いな!!」という思いを超低価格で、自宅でマンツーマンで実現し、着物の潜在需要を顕在化していきたいと思っているが、いかがだろうか。
第474号(2019/10/25発行)18面