便利屋!お助け本舗、妻の介護用ベッド置くためにゴミ屋敷と決別した男性客
2020年01月09日
遺品整理ダイアリー Story4
思い出に寄りそって
遺品は故人の人生そのものであり、
残された者へのメッセージです。
遺品整理の現場から生まれた
ストーリーをお伝えします。
便利屋!お助け本舗足立西新井店
妻の介護用ベッド置くためにゴミ屋敷と決別した男性客
遺品・生前整理をはじめ、ありとあらゆる困りごとに対応している
足立区を中心に生活の中のあらゆる困りごとを手助けする便利屋!お助け本舗 足立西新井店(東京都足立区)では、口コミで月1〜2件、生前整理の依頼を受けている。生前整理といえば、高齢者が身内に迷惑をかけたくないと、生きているうちに持ち物や財産を整理するポジティブなイメージがある。しかし三浦十字代表によれば、実態はそのイメージとはかなり違ったものだという。
「自分の意思で身辺整理をされる方もおられますが、それは稀なケースです。大半はご自宅がゴミ屋敷化してしまい、自力で片付けられないので、私のような業者の力を借りることが多いですね」
2〜3年前、三浦代表は80歳位の男性から部屋の片付けを依頼された。その男性は一人で2DKの団地に暮らしていたが、施設に入っている妻が戻ってくるので、物を片付けて介護用のベッドを置くスペースを作って欲しいとのことだった。
生前整理の現場はゴミ屋敷化しているところが多い
処分した物は3トン車3台分
現地に行ってみると、部屋の中はどこも天井まで段ボール箱が積み重なり、奥へ入っていくことすら出来なかった。唯一の空きスペースは廊下の真ん中だけだ。男性はそのわずかなスペースで眠り、段ボール箱に寄りかかって食事をしたり、テレビを見たりしていた。
「お風呂まで箱が山積みで、外の自転車置き場にも自分のスペースを作っていました。物の山なのですが、服や百円ショップの雑貨などで、高い物はありません。同じ物が3個あったり、新品もありました」
男性は部屋の整理を依頼したにも関わらず、一度は納得してゴミ袋に入れた物でも、翌日には「何で捨てるんだ!」と怒り出し、振り出しに戻ってしまう。三浦代表はその度に「これを捨てないと、この先、奥さんとここで生活出来ませんよ」と粘り強く説得した。結局、片付けが終わるまでに丸3日かかり、処分した物は3トン車3台分になった。
「なんとか介護用ベッドを置くスペースは確保できたのですが、まだ片付いているのとは程遠い状態です。作業が終わって1週間後にそのお客様から電話があり、捨てていいと了解を得た電気ポットについて問い合わせがありました(笑)。生前整理の難しさを痛感しています」(三浦代表)
残された人生をより豊かに過ごす手助けをしていきたい
便利屋!お助け本舗 足立西新井店 三浦十字代表
前職はネットワークエンジニア。システムの障害対応を担当していたが、トラブルが長引けば急かされ、復旧させても感謝されなかった。心が折れそうになっていた時、東日本大震災が起こり、地域のつながりの大切さを痛感。テレビで便利屋が紹介されているのを見て、地域に貢献でき、「ありがとう!」と言ってもらえる仕事だと、8年前に開業した。物に思い入れがあるお客の要望を聞きながら進める生前整理は難しさもあるが、残された人生をより豊かに過ごす手助けができることにやりがいを感じている。
第478号(2019/12/25発行)19面