《ブランド市場バイヤーに学べ69》アフターコロナ〜注目のネットオークション
2020年06月05日
第69回 アフターコロナ〜注目のネットオークション
ネットオク、入札とライブの2方式
史上初めての緊急事態宣言が出された4月に続き、5月4日にその延長が発表されました。外出自粛によって全国的にヒト・モノの動きが停滞している今、ブランド古物市場も大きな影響を受けています。
古物市場に関しては、3月までは対策を行いリアル競りを実施するところも見られましたが、4月からはめっきり少なくなりました。それもそのはずで、平月に比べて参加者が少なく会場の雰囲気も重めで、相場や落札率が伸び悩むなど、売り手にとっても買い手にとっても良い結果とはいえないものだったからです。
こうした状況から売り手も買い手も変革を求められる中、にわかに「ネットオークション」が活発になってきました。これから訪れる、コロナウイルス収束後の世界「アフターコロナ」では、様々な業種でコロナ流行前とは異なるスタイルが求められるといわれています。ネットオークションの活発化は、"アフターコロナの古物市場"を象徴するのかもしれません。
しかし、ネットオークションが活発化してきたとはいえ、リアル競りしか参加したことがない方もまだまだ多いかと思います。そこで、本コラムでは今後数回にわたって、ネットオークションへの参加を検討される方の一助になるような情報をお伝えしていきます。
今回は「開催方式」について。ネットオークションは大きく分けて2つの開催方式があり、【入札方式】と【ライブ方式】があります。前者は、決められた期限内に希望金額を入札し、期限終了後に最も入札値が高い人が競り落とせる方式です。
一方のライブ方式は、リアルタイムで入札して競り上がっていく、いわばリアル競りのネット版です。一般的にネットオークションというと入札方式を思い浮かべる方も多いかと思いますが、ライブ方式ならリアル競りのようなスピード感で進行していきます。どちらかの方式のみ採用している古物市場もありますし、私どもが運営するRKグローバルオークションのように両方実施しているところもあります。
「下見」については、ネットでの下見のみとしているところもあれば、ネットに加えて、会場を設営してリアルな下見を行っているところもあります。ネットオークションに抱く不安のひとつに、商品を実際に見られないことが挙げられると思いますが、この点は下見でカバーできます。また入札方式とライブ方式、自分はどちらがやりやすそうか、参加したい古物市場がどちらを採用しているかはあらかじめ確認しましょう。
私感ですが、古物相場に明るくないうちは、ライブ方式がおすすめです。他の人がどれくらいの値を入れているか分からない入札方式は、中級~上級者向けといえます。
余談ですが、人の密集を避けるという点から、リアル競りも入札方式が注目を集めていますので、各市場の情報をチェックしておくと良さそうです(RKグローバルオークションでも、6月に下見ありの入札方式を初開催する予定です)。
<Profile>
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ・執行役員 兼 オークション事業本部 本部長 グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
第488号(2020/5/25発行)15面