飲食店で古物を交換する動きが現れている。仕入れ時に現金の代わりに現物を差し出してみたところ、お客からは「かえって新鮮だ」との声が聞かれたという。現物もさまざまで、古書もあれば、淹れたてのコーヒーもある。今後、新たな仕入れ方法として注目を集めそうだ。
こりおり舎
コーヒー1杯が古書の山に
コーヒーを提供し、お客から古書を受け取る
「コーヒーを提供して代わりに古書を仕入れました。開業前に3000冊を確保することができました」とこりおり舎(愛媛県今治市)の千々木涼子代表は話す。同店は昨年4月に開店し、しまなみ海道の大島でコーヒーショップと新刊&古書店を展開している。開店前に仕入れの資金が足りず、苦肉の策としてコーヒーとの引換えを始めたが、それが結果的に奏功。引取り1回につきコーヒー1杯という決まりがあるにもかかわらず、なかには一度に段ボール数箱分もの古書を持ってきたお客も。県外のイベントでも喜ばれた。「等価交換ではないんです。お客さまはコーヒー目的でなく、純粋に本を有効活用してほしいのだと思っています。他の古書店の値付けが低すぎてがっかりしたような方がうちにはいらっしゃる」(同氏)。今後は、コーヒーと野菜・お米などの食材との交換も検討しているという。
こりおり舎
千々木涼子代表
第519号(2021/9/10発行)18面