このほど開業した学校用品リユースショップうさや(島根県松江市)。代表の外谷裕恵さんは開業にあたり、市内の約70の小・中・高校へあいさつ回りをして事業への協力を呼び掛けた。また経営に際して銀行員やSDGs専門研究者などから助言をもらうなど奔走した。丹念な準備が実を結び、本格開店前からすでに数百点もの中古学用品が集まった。
数百点の在庫が集まる
説明書類持参して
各学校に説明書類を持参して話をした
外谷さんは当初、学用品の仕入れ先の確保や販売店としての認知度向上のために、特別支援学校等も含めた市内の学校をひたすらあいさつ回りした。時間を設けてくれる校長・教頭先生もいる一方で、全体の半分近くは説明書類の配布にとどまった。そこでは「ぜひ卒業式の日にチラシを設置したい」「公的機関として利益の出る事業への協力は難しい」などの様々な意見が聞かれた。いわゆるブルセラなどの目的の異なる人物の手に学用品が渡らぬよう、営業活動は基本的に学校のみに限定していた。外谷さんは「2月からのあいさつだったが、今思えば卒業間際のタイミング。もう少し早く動いておけばより認知してもらえたのでは」と反省点をあげた。
専門家の意見を参考に
同店はもともと書道用品店として運営しており、経営の経験や店舗用物件や古物商の資格等は有していた。だが外谷さんは我流にはならず、客観的な助言を事業運営に求めた。
動画投稿サイトで講演を視聴したという島根大学の研究者のもとを訪れ、子どもの貧困に関するデータやそれに基づく推測などを聞いた。そうして得た正確な根拠を事業の背骨とした。また、あいさつ先の学校で出会った元銀行員から経営に関する助言を受けたことも。そのほか警察署の生活安全課や教育委員会、フードバンクなどからも意見をあげた。
中古学生服店「さくらや」にも電話を入れ、「島根県への出店の予定はない。(出店してもいいか?)もちろんどうぞ」といった返事を得たという。全部で100軒近くあいさつ回りをし、事業への手応えを確実に掴んでいった。
現場の声が励み
とにかく足で稼いだあいさつ回り。学校側から微妙な反応をされることも多々あった。PTAで行う活動を引き合いに出されてやんわりと断られる事も、制服販売店と学校との関係になんとなく疑問を感じる事も。とはいえ「理解のある教師や保護者も多く、励みになっている」と外谷さん。家計負担を減らしたいという需要に応えるべく、これからも邁進していく。中古学用品の買取り・寄付は随時募集中だ。
外谷裕恵代表
第541号(2022/8/10発行)19面