ブラックランドセル、塗装店が兼業古着店
2023年01月06日
塗装店のぺイントアートオクトパス(大阪府大阪市)は2022年1月に古着店「ブラックランドセル」(同市)を開店した。平松泰斗代表が経営している塗装店の事務所の空き部屋を古着店として活用した形だ。兼業ながらも月商はすでに60万円で、催事に出店すれば1日で約20万円を売り上げている。
本業の「エイジング塗装」で独自空間を演出した
事務所の空きを店舗に
客単価は6,000円
同店の在庫は約400着で、「癖の強い」(同氏)個性的な古着やヴィンテージ古着を取り揃えている。店舗の広さは10坪弱程度。客単価は約6000円とやや高めで、購入客層は若者よりも中高年層が多い。塗装業の仕事では現場に出張する機会が多くあり、そのタイミングで近くの古着店や古着倉庫・古物市場で買い付けをしている。平松代表は塗装業で普段は忙しく、パートナーに古着店の運営を任せているが、同店は塗装業の事務所に併設されているため、平松代表自身が顧客対応するケースもある。強みはおとぎ話に出てきそうな古めかしい独自空間だ。塗装業者として培ったスキルで、凝った内装を自前で用意。加えて古着に独自のペイントを施した商品を扱うなど、相乗効果は大きいようだ。「6年後に取り壊される予定の物件を借りたため、好き勝手に中をいじってもいいと言われている」(同氏)
天井には自前のアンティークパネル
コロナで兼業決意
平松代表は18年に個人塗装業者として独立したが、20年にコロナの影響で案件が減少。そこで思い切って兼業での古着店の開店を決意した。同氏はもともと古着に関心が強く、いつか古着店をやりたいという思いがあり、趣味で訪れた古着店でコツコツと在庫を集めていた。「実は小学生の頃から古着店に通っていた。今は兼業のため連勤はあるが、好きだからこそやれている」(同氏)。塗装店としても「エイジング塗装」と呼ばれる、あえて古びたテイストを再現する塗装を手掛けており、古いものへの愛着がどちらの事業にも活きている。また、平松代表によると塗装業では大きな道具があまり必要なく、小さい作業場所があれば事務所としては成り立つという。そうした本業の機動性の高さも兼業を後押ししたと言えそうだ。
「癖の強さ」が強み
積極的に催事出店
今後は催事への積極的な出店を検討している。すでにVCM(Vintage Collection Mall)やフルギフェスへ出店しており、関東での知名度を徐々に高めている。「関西の催事にも出店したが、やはり関東のほうが個性的な古着が受け入れられる印象」だと平松代表は話す。
平松泰斗代表
第551号(2023/01/10発行)20面