登山用具の中で、異彩を放つ売れ行きの中古品がある。「軽量」を意味するウルトラライト(以下:UL)と呼ばれる素材のザックだ。中でも小規模ながら良質な商材を扱う、ガレージブランドのアウトドアギアが流行しており、中古品であってもすぐに売れると言う。
新品と遜色ない価格で売れる
2ndGearで取り扱う「山と道」の軽量ザック「スリースタンダード」
従来、登山用ザックは収納量や背負い心地が重視されてきたが、2000年代に「軽くて丈夫=ウルトラライト」という新概念が登場した。一般的には、本体のみで1キロ以下、日帰り登山で用いられる20~30Lの容量がある小型ザックを指す。当初アメリカのブランドで見られ、2010年以降日本のガレージブランドも開発し始めた。
ガレージブランドは少人数体制のため、自社WEBサイトを中心に数量限定での販売が大半だ。そのため新品を手にするのが難しく、中古品を求める動きが加速している。「美品であれば、プレミア価格をつけることもある」と話すのは、アウトドア用品のリサイクルショップ2ndGear(セカンドギア・東京都調布市)を運営する楠本翔也代表だ。
同店はアウターや靴など、主に登山ウェアの中古品を扱う。全商材の平均販売価格は新品の40~50%だが、ガレージブランドのULギアは異なる。国内におけるULブームの先駆者的存在ブランド「山と道」の商品の場合、希望小売価格3万4100円(税込)の代表商品「スリー スタンダード」を3万799円(税込)で販売。同商品は若干の使用感があるが、新品の約90%の値段を付けた。
第560号(2023/05/25発行)11面