第20回 新人バイヤー必見!押さえておきたい競りのコツ
決算期が終わって、せわしない日々に一息ついたのも束の間。新年度が始まって、皆さん忙しく過ごされているのではないでしょうか。中には、いよいよこの春から市場デビューされる人もいるかもしれませんね。そこで、今回は新人バイヤーの皆さんに向けて「押さえておきたい競りのコツ」をお伝えします。熟練バイヤーたちが集う市場で狙ったモノを少しでも落札しやすくするために、次の2つのコツを押さえておきましょう。
昼食直後が買いの狙い目
(1)発句をしっかりと振り手にアピールする
「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、これが意外と難しいのです。参加者が数十人を超える市場では、大きなフロアに並べられた席に、前から順に座って競りに参加する方式が多いです。当然、前の席ほど振り手にアピールしやすい。もちろん後ろの席でも発句は拾ってくれますが、振り手も人間ですから、スピーディな展開や値段が僅差だと「声を拾い漏らしてしまう」こともしばしば。振り手の目線はどうしても前の座席に寄りがちですから、後ろの席はやや不利です。
もしも後ろの席に座ったら、おすすめの戦法は「立ち上がること」です。手ヤリも加えればアピール度抜群です。大きな声を張るだけでは、白熱した競り上がり時は周囲の声にかき消されがち。ここぞという時には、全身を使って振り手に伝えましょう。恥ずかしがらずに、レッツトライ!
(2)一日の相場の波をつかむ
出品数の多い市場では、競りが7~8時間という長時間に及ぶことがあります。休憩を挟むとはいえ長丁場ですから当然、相場には波があります。買いやすい頃合いを図るなら、その波をつかむことが重要です。
一例としては「昼食直後」の競りが狙い目。振り手の視点から見ていて思うことは、やはり買い手の皆さんも午後イチは眠い様子... (笑) 午前中の進行から一転、ややゆったりとして場がダレることが多いように思います。そうした場面を見越して、会主側もそのクールには値が重い出品が続かないよう工夫していますから、上手く相場の波をつかめればトントン拍子で買えることも。次点で、他の買い手のエンジンがかかる前の「朝イチ」も買いやすい可能性が高いです。
反面、お昼前のクールや昼食後の眠気も落ち着いた14時頃~終盤にかけては、競りがヒートアップしやすい時間帯。他にも、市場によって時間帯ごとに出品ボリュームや相場に波がありますから、その変化を予測すれば自ずと買いやすいタイミングが分かるはずです。
以上、押さえておきたい競りのコツでした。商品相場や地金、為替や株価のレート変動を頭に入れておくことは重要ですが、こうしたコツや工夫で思わぬ落札に至るのも市場の醍醐味!新人バイヤーの皆さんに、ぜひお試しいただけたら幸いです。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
390号(2016/04/25発行)17面