「リテールトランスフォーメーション」 KDDI総合研究所 沖賢太郎氏に聞く
2024年02月17日
昨年3月、KDDI総合研究所からレポート「リテールトランスフォーメーション」が発表された。世界的な小売業がリセール、サブスク、受注生産、リペアなどの分野に進出している。こうした動きの背景やビジネスモデルの転換を考察したものだ。執筆者の沖賢太郎氏に聞いた。
- ●プロフィール
- KDDI入社後、携帯電話端末や通信ネットワークの開発業務を担当。その後、KDDI総研(現KDDI総合研究所)にてリサーチ業務を開始。近年の調査テーマは、サブスクリプションビジネス、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマ)、アートビジネス、NFTなど。価値観、テクノロジー、商流の変化によって生活がどのように楽しくなるかを探索。
問われる拡大生産者責任
小売企業は変革を迫られる
── 海外と日本を比べた場合、海外の方がリセール等への参入が活発のように見える。何が違うのか。
沖 事業環境が大きく異なっています。欧州では、売れ残り品の廃棄ができなくなったりするなど拡大生産者責任*の範囲が広がっている。また、サステナビリティに対する消費者の意識も高いが、日本はそこまでではない。日本でも10代はこの意識が高いと言われており、この層が消費の中心になってくれば変わるかもしれない。また、ユニクロや良品計画といったグローバルでビジネスを展開している企業だと海外基準で考えざるを得ないため、国内の動きも早いのではないか。
── 海外の企業はやらざるを得ない状況に追い込まれていると。
第577号(2024/02/10発行)15面