だからカドノ質店は住宅街でも勝てる

『土日祝日は店を閉め』客層変える

創業90年以上の老舗カドノ質店(東京都江戸川区)は、逆転の発想で売上高を伸ばしている。立地は通行量の多い駅近ではなく住宅街。書き入れ時の土日祝日は店をあけない。トレンドの買取り販売ではなく、質融資の比率を上げているところだ。

住宅街に人を呼ぶ

最寄駅から10分以上歩くとようやく、住宅街の中に要塞のような建物が見えてくる。カドノ質店だ。

スタイリッシュな外観だが、見知らぬ人がふらりと入れる気安さはない。だが、それでいい。ホームページを見て来店するお客が全体の80％を占めるからだ。

3代目の角野代表が入社した時、すでにカドノ質店はこの場所にあった。繁華街や駅前の店にどうやって勝てるかを考えて、ネットを強化したのだ。

一番の核となっているのは、｢買取り価格の相場｣だ。ブランド品や時計、着物や家電に至るまで。商品ごと、さらには状態ごとに買取り価格の目安を詳細に示している。

金やプラチナは、買取り価格だけでなく質を利用した際の質融資額まで見せる。これらの価格はネット上の価格や為替相場、古物市場相場などをもとに毎日更新する鮮度の高いものだ。お客は持っていく前に買取り価格や質融資額が分かるので、安心して店舗に入っていくことができる。相場情報の掲載が無いものは、事前の無料見積りも行っている。懇切丁寧なホームページで住宅街に人を呼ぶのだ。

相場情報は追加しつづけており、最近ではラインナップに靴も加えた。

この他にもコンテンツは充実しており、店内の様子も写真で公開。オリジナルキャラクターの｢まじにゃん｣が分かりやすく利用の仕方を解説している。

371号（2015/07/10発行）20面