子どもが大人の世界を旅する
絵本・児童書専門古書店
父親は木工職人、祖父は植物学者という家に育ち、本好きの母親の影響で本に囲まれた幼少期を過ごしていたと言うMain Tentオーナーのフランソワ・バチスト氏こと、冨樫チトさん。
オーナーのフランソワ・バチスト氏こと、冨樫チトさん
絵本の古書店だが、カウンターも高く、あえて子どもには敷居の高い雰囲気を醸し出している。店内に漂うのは不思議の国のアリスが旅をしているような、子どもが大人の世界を旅するような非日常感。映画に出てきそうなそんな本屋さんだ。
Main Tentの外観。寝そべっているのは看板ライオンの親子「ライオネル」と「リッチー」
「絵本は次の世代に残したいと思うものをセレクトして置いています」と冨樫さん。店頭在庫は4000冊ほど。買取依頼も月10~15件ほどある。思い入れのある本をこの店だから買い取ってほしいと、地方から送ってくるケースも多い。
イベントも定期的に開催している。ヒューマンビートボクサー AFRA氏との絵本読み聞かせの会「カーテンアケロ」は、口で色々な音を出して絵本を読むもの。独自の取り組みでファンを掴んでいる。
店内には他にも色々な「住人」がいて、お客様を迎えている。上の猫の名前は「ヨジゲン」。船崎克彦著「トンカチと花将軍」から名付けられた。
下の犬の名前は「フンデルトヴァッサー」。オーストラリアの建築家の名前が付けられている
カウンターにポスト?
サーカスのテントをイメージしたカーテンは一度脱色をしてから紅茶で染めて風合いを出したもの。舞台衣装を手がける冨樫氏の奥様の手作り
あえて、子どもの目線に合わせない高めのカウンター。子どもには手が届かないため、脇に小さな差入口がある。小さな子どもが本を購入する時はここに入れて会計をしてもらうシステム
本物にこだわり遊びゴコロある本棚
ほとんどの書棚は冨樫氏が設計した。合板ではなく無垢の板を使い、年月とともに味が出てくるようにした。また、ところどころ棚に穴が空いているのは、冨樫氏のコレクションを飾るため
恐竜の本のコーナー。他にもおばけの本、猫の本など色々なコーナーなどを作っている
全体の2~3割を占める洋書の絵本。英語以外の言語のものも多い
小学生が店長体験
ダンスクラスの子どもが夏休みの自由研究として始めた1日店長。これが評判となり、夏休み中の週末、希望する小学生が1日店長を務めるようになった。自分の本を自分で値段をつけて販売。売れた金額は同店で使える金券と交換。残った本は店舗で買い取っている、下の写真はその体験をまとめたノート
ハロウィンイベントも開催
ハロウィンの時には、オリジナルの衣装を用意し、プロがメイクと撮影をするイベントを開催した。その他、「真夏の夜の読み放題」として、夜6時から10時まで1ドリンク1000円で椅子を確保でき、店内の本を好きなだけ読めるイベントも開催している
オープン | 2015年2月 |
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取扱い商品 | 絵本の古書(内洋書は2~3割) |
スタッフ数 | 1人 |
備考 | 売り場面積/21.95平方メートル 客単価/約1000円 Main Tentはダンサーである冨樫チト氏がオープンした絵本・児童書専門の古書店。冨樫氏はこの他、実妹とのユニット「よるのとびらをひらく方法」で画家としても活動。ユニクロ吉祥寺店の1週年記念のイラストを手がけるなど、様々な方面で活動している。 |
第446号(2018/08/25発行)11面