広友レンティア、ICタグでオフィス家具レンタル品を管理
2017年04月19日
ICタグで貸出資産を管理〝稼いだ商品どれ?〟が明確に
所有せずに使用するシェアリングサービスが広がりつつあるが、その中で重要になってくるのが貸し出すための「資産の管理」。事業者が貸し出す形態だとそうはいかない。そんな中、備品・什器レンタル大手の広友レンティア(東京都港区)は、大日本印刷や日本IBMと共にICタグを使った管理システムを構築した。
修理やクリーニングをして貸出資産をメンテナンスしている。レンタル品管理システムの導入で、修理すべき製品も明確になる
広友レンティアは、建設現場を中心にオフィス什器や備品の貸出を行っている。在庫点数は机や椅子など約100万点、大小10ヵ所の倉庫から、2万ヵ所に貸出を行っている。
これだけのスケールで商品を動かしていることから「1点1点の商品の購入コストがペイできているのか、在庫数の適正化など、最低限の在庫管理以上のことができていなかった」(寺澤重治常務)と、これまでを振り返る。
そこで構築したのが「レンタル品管理システム」。ICタグをオフィス家具に取り付け、リーダーで読み取ることで個体管理を可能にした。
昨年10月から関東でテスト運用を行っており、2月から全国で本格的に導入をスタートした。
返却品の確認はゲートくぐるだけ
いったいどんな管理に変わるのか。例えば、コンサート会場に2万点の椅子を貸し出すとする。これまでは返却されたら、目視で個数をカウントしていた。これが、ゲートをくぐるだけで戻り品の不足が無いか確認が終了。確認のスピードが圧倒的に向上する上に、正確さも増す。
個体ごとに情報を付加することができるため、いつ購入したのか、その商品がどれだけ回転し、どれだけ収益を稼いだか、または稼いでいないかも分かる。これによって、レンタル在庫として続投させるべきか中古として販売すべきか、リサイクルにまわすべきかジャッジするためのインジケーターにもなる。
広友レンティアはこのシステム導入によって5〜6%の収益改善が図れると試算している。
集積データ分析で在庫数を適正化
今後は、ICタグの集積データ――いつどんな商品が出ていくか、返却されるか――を分析することで在庫の適正化も図る計画だ。
「商品品質の管理にも使えると思っています。例えば誰がいつメンテナンスしたものかという情報も紐づけることができる。整備不良で戻ってくるものを解析し、現場のメンテナンスに問題があると分かればそれを改善することができます」(寺澤常務)
CO2の排出量も情報として付加して、新品購入との比較を分かりやすく提示する構想もある。
413号(2017/04/10発行)14面