「むやみにオススメはしません」
都内を中心にリサイクルブテイックメリットやCocoloを展開するイー・エフ・オー(東京都台東区)。錦糸町店の店長相原きょうこさんの接客術に迫る。
メリット錦糸町店 相原きょうこ店長
約20年錦糸町店店長を務める、相原きょうこさん。相原さんが店長についてから、店舗の売上げが就任前と比べ2倍近くに跳ね上がったと言う。
相原店長の接客スタイルは、「売ろうと思わず会話を楽しむこと」。
「リサイクル店に足を運ぶ方は安さももちろんですが、周りと被らないお洒落をしたいという、こだわりがある方が多いんです。むやみにオススメをして、その場で気に入らないものを購入していただいたとしても、次の来店はありません。目先の売上げを追いかけるよりも、長く付き合う接客を心がけています」。
常連客のなかには、20年通い続ける人も。夕飯のメニューの相談、家庭内の悩み、健康についてなど「時にはこんなこと聞いていいのかしら、なんて思うほど踏み込んだことまで打ち明けてもらうんです」。
ネットオークションやフリマアプリの影響で自宅でも売買できる現代。リサイクルショップは、「あのお店に行って、この店員さんに会いたい」と根強い常連客をもつことが肝心なようだ。
常連客には声かけず!
「買い物の時間とコミュニケーションを取る時間にメリハリをつけています」と相原店長。
常連客のほとんどが来店すると、店中のアイテムを隅々まで吟味する。自分のこだわりにあった1点を探しているのだ。買い物モードのお客には、あえて声をかけない。
「うちのお客様は新品にない、1点ものというところに惹かれリサイクルショップに足を運んでくれています。お洒落にも自分のスタイルを持っている。無理にオススメしたり、批評したりはしません」。
購入のためレジを訪れてからが、コミュニケーションタイムだ。天気についてなど、簡単な話題でもいいので何かしら会話をするようにしている。
「話したことと、アイテムを紐づけてお客様を記憶しています。話題で記憶を呼びおこし、『そういえばこの前買ったワンピースどうでした?』なんてお声掛けもしています」。
1回の来店で焦りすぎないのが秘訣だ。「会話のミルフィーユです。1回、1回の来店で少しずつお客様に心を開いてもらい、接客に活かしています」。
初来店客には声をかける
初めて来店するお客には、声をかける。きょろきょろとしながら、入店してくるので、一目でわかると言う。
「ここがリサイクルの店であること、タグの説明などをします」。
417号(2017/06/10発行)13面