Lesson.36 風穴をあける
ゴミ扱いから百貨店一等地への道のり
少し前まで、百貨店への出店で忙しかった。一等地に出店させてもらっているので、ひっきりなしにお客さんが訪れた。平均1週間で300万円の売上げになる。百貨店の人曰く、バッグの売り場をつくっても100万円くらいにしかならないそうなので、その3倍の売上をあげていることになる。
百貨店出店の様子
今では年10回以上、百貨店への出店を行っている当社だが、はじめはゴミみたいな扱いだった。隅でやっていろ、クレームなんか出したら出入禁止だぞ。そう言われていたことを思い返すと、ヴィトンやティファニー前に出店できるようになったことは感慨深い。
暗い隅に追いやられていた修理業者が、一等地に出店できるまでどんな道のりがあったのか、リサイクルショップにとっても参考になると思うので紹介してみたいと思う。
はじめて百貨店に出店したのは5年前だ。うちの会社で修業した人が地元に帰って仕事が無いというので、その人の地元の老舗百貨店に「受注会やイベント」をやらせてもらえないかと連絡してみた。地方の百貨店は比較的ネタを探しているし、やってみようという話になった。
しかし催事場の片隅にカウンターだけ置いた形に追いやられて、売上げは1週間で30万円にしかならなかった。
1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。
387号(2016/03/10発行)5面