外国人が「アリペイ」で中古ブランド楽々購入
2018年04月24日
インバウンドの対策
QRコード設置で13種のスマホ決済
外国人が「アリペイ」で中古ブランド楽々購入
外国人が日本で買い物する時に、英語や中国語で店を検索し、アリペイなど13種類のスマホ決済を利用できる便利なサービスを、日本企業に提供している会社がある。「日本美食」(東京都港区)がそれ。現在利用店舗の90%が飲食店だが、これから「買い物」「交通」「体験・レジャー」などにカバー範囲を広げる。同社は「買い物」カテゴリで、中古ブランド店の需要が高いと見ている。
導入店に発行された「QRコード」を店頭に掲示しておくと、外国人観光客はスマホで読み込む。そこから導入店の店舗ページにアクセスし、購入金額を入力。店員に画面を見せると、店員は金額が間違いないか確認し承認する。「アリペイ」や「アップルペイ」「ペイパル」など13種類の中から使用したい決済方法をお客が選択すれば、支払いは完了だ。
英語と中国語に対応しているため、外国人観光客にとっては使い慣れたストレスフリーの決済方法で日本での買い物を楽しむことができる。日本のショップ側も複雑なやり取りをすることなく、承認ボタンを押すだけでいい。飲食店の事例だが、中には決済の対応平均時間を1分から20秒に縮められたケースもあると言う。「導入費用はナシ。各スマホ決済の会社と個別に契約するのではなく、店舗にQRコードを設置するだけで外国人観光客の求める13種類の決済方法を用意することができます。決済の手数料は今のところ1・5%程度を想定しています」(セールスマネージャー 川田勇輝氏)
▲QRコードを設置するだけで、13種類のスマホ決済を導入できることになる。外国人観光客がスマホで読み込んでつかう。日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)に対応している。自分の使い慣れたスマホ決済を選択できるため、買い物がストレスフリーに。導入費用は0円。
ユーザー動向把握し マーケティングも
外国人観光客という新たなターゲット層にアプローチできれば、売上げ拡大につなげることができる。だがこのQRコードが実現するのはそれだけではない。
日本美食を通して決済をしてもらえば、ユーザーの「国籍」「決済方法」「位置情報」などのデータを入手できるのだ。
「例えば今、あるブランドリユースの大手とお話ししているのは、取得した情報をつかったプロモーション施策について。『銀座店に買い物に来ているお客が、実は新宿エリアにある飲食店から流れてきている』などと分かれば、そのエリアで販促をすれば効果的だということが分かる。店頭に決済の仕組みを導入して、その後そうした施策につなげようと提案しているところです」(川田氏)
同サービスは2016年9月にスタートし、またたくまに飲食店700店に導入された。飲食以外にカバー範囲を広げるにあたって、リユース店――中でも外国人から需要のある「中古ブランド店」での設置を増やしたいと考えていると言う。
▲支払金額を入力し、店員に見せる。間違いがなければ店員が承認ボタンを押す。アリペイやアップルペイ、ペイパルなど13種類の決済方法の中から選択し、「支払う」ボタンを押せば決済が完了する。写真は日本語バージョン。スマホの設定を中国語に設定している中国人観光客なら、中国語で表示される。
中国から集客も行う
インバウンド向けに決済のインフラを提供したいと考えています。申し込み後は店舗ページを作成したり、ツールを提供したりして、レクチャーを経て契約から長くても2週間程度で13種のスマホ決済がお店で使えるようになります。
ユーザーがどこで買い物し、何を食べたかなどのデータを集めることができるので、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)にも活用することができます。そのため、JR西日本さんなどにも利用してもらっています。
また、集客支援も行っています。日本美食のアプリ上はもちろん、ウィチャットの他、中国の口コミサイト「大衆点評(たいしゅうてんひょう)」、百度などに露出。旅前に外国人に見てもらうことで集客につなげます。
オンラインだけでなく、旅行代理店とも協力しています。
▲セールスマネージャー 川田勇輝氏
【アリペイ】
中国のアリババグループが展開する電子決済。中国国内では50%近いシェアを誇る。近年日本国内でも導入が進んでいる。
第437号(2018/04/10発行)24面