「海外の2次流通」
「海外の2次流通」Vol.16、Infinite Style(インフィニットスタイル)、Ann Taylorの定額レンタルサービス 毎月95ドルで最新ファッションを提供
2018年10月04日
《アメリカ》Ann Taylorの定額レンタルサービス 毎月95ドルで最新ファッションを提供
Infinite Style(インフィニットスタイル)
クリーニング代は不要
専用のリターンボックスで服を交換
Infinite Style(インフィニットスタイル)はレディースの大手アパレルブランドAnn Taylor(アンティラー)によって2017年11月にリリースされた自社商品の定額レンタルサービスだ。メンバーは毎月95ドルで最新のファッションアイテムをレンタルできる。具体的には3アイテムの入った箱を3箱がレンタル可能で、途中で退会しても罰金はとられない。
メンバーは毎月3アイテムを交換することができる。リターン専用のボックスの郵送料は無料で 、ドライクリーニングに出す必要もない。レンタルした服が気に入ったら、定価より安く購入することが出来る。アンテイラーのファンにとってはメリッ
トの多いサービスに思われるが、デメリットもある 。まず、レンタルなので大半は他のメンバーが着た後でクリーニングされた 服、つまり中古だ。また、コートやアクセサリーはレンタル対象外となっている。
レンタルの障壁は店舗の値引き競合の多さ、ファストファッション
アンテイラーは1954年にコネチカット州ニューヘイブンでRichard Liebeskind(リチャード・リベスキンド)氏が婦人服店をオープンしたことに端を発する。主に働く女性向けに、ON/OFF両シーンの高品質なコレクションを提案しており、アメリカでは誰もが知るブランドだ。だが、この定額レンタルに対する見方はあまり芳しくない。ファッションサイト"Elle Blogs"では、3つの観点から近い将来サービスはひっそり消滅するだろうと述べている。
理由の一つはレンタル料金に余り魅力がないことだ。アンテイラーは通常50ドルから180ドルのプライスレンジだが店舗では40%から50%の値引きを頻繁にするうえ、発売から6週間以内に定価の60~80%引きとなる。服の値段によってはレンタル料金で新品を2 ~3枚買うことも可能だ。2つ目の理由はレンタルサービスの競争が激しいことだ。大手だけでもRent the Runway、Le Tote、Gwynnie Beeがあり、他社は様々なブランドの服を選ぶことができる。3つ目はForever 21、Zara,H&Mといったファストファッションの存在で、こちらは新品を定価で購入しても手が届く価格帯だ。
とはいえ、着てみて似合ったら購入という選択肢を歓迎するファンもいるはずだ。シェアリングエコノミーの時代、AirbnbやUberを利用する20~30代は服をレンタルすることへの抵抗が薄れつつある。服のシェアリングがどこまで進むのか、
今後も動向を見守っていきたい。
第448号(2018/09/25発行)14面